100回の好きの行方
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「よっ!!ジムの帰りか?」

「あぁ。今日は泳いできた。わりーな。呼び出して。」

 尚志は、噂の張本人、篤斗から連絡を貰い、篤斗のジム帰りに、待ち合わせする最寄り駅に来たのだった。

 コンビニに寄り向かうのは、篤斗の独り暮らししているマンションだ。会社から少し距離はあるが、ジムに近いため入社したときから同じとこに住んでいた。

 二人でマンションにつくと、今日のことを聞きたくて、うずうずしていた尚志、ビールを空けるなり口にした。

「麻嘉のことどうすんの?」

「……どうするも、なにも、別に。」

「付き合ったら?似合うよ、二人。」

「あのなー。そもそも、そんな目で見たことないし。」

 篤斗は、ビールとつまみに買った柿ピーをバリバリと食べながら苦笑いする。

「えーでも顔、可愛いし。何よりEカップだよ?」

「だから、そんなこと言うあいつを、同期以外には思えないんだよ!」

 篤斗は、眼鏡を外し目頭を押さえ、"まじで、頭いて~。"と呟いた。

「篤斗って、ずっと彼女いないよな?」

 確かにこの5年、入社してから篤斗に彼女の話、浮いた話一つないなと、改めて思った尚志の疑問に、"あぁ。"と、ぶっきらぼうに答え、視線は窓の外の月を見ている。

「麻嘉とは、気が合うってよく言ってたじゃん。てか、その前に、どんな子が好きなわけ?」

 尚志はてっきり、"性格いい子。"とか"笑顔が可愛い子。"とか、漠然とした答えが返って来るかと思っていたが、出てきたのは、あまりにもはっきりとした答えだった。

 まるで、誰かを思い描いているような。
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