100回の好きの行方
「篤斗?」
尚志の声で回想から呼び戻された篤斗は、こちらを哀愁漂う目で見ている、守衛のおじさんと目があった。
「守衛のおじちゃん、今日も暑いですね。」
篤斗が話しかけると"そうだね。"と微笑んでくれる優しい顔を、何故かいつもほっこりさせられ篤斗の癒しになっていた。でも、なんだか最近は元気がない。篤斗は、気になりながらも、営業先に出掛けていった。
守衛のおじさんはあの時の社長の電話に驚いた。
『えっ?』
『だから、ロビーの花は、私の知り合いの子にさせるから花屋の業者に断りの連絡を入れておいて。守衛さんが業者手配してるんだよね?』
『あの、会長には話されてるんですか?』
『会長には、話していないが会長は関係ないから。』
それだけの電話だった。
守衛のおじさんは、長く会社につとめているため、会社の内情にもかなり詳しい。
会長が麻嘉の実家と懇意にしている訳も知っているし、何故、麻嘉の母、嘉乃にロビーの花を活けてもらっていたのかも知っているため、その話を麻嘉の実家に伝えた時、怒られた訳も分かる。
でも、麻嘉のことを思うとただの守衛には何も言えなかった。
『おじちゃん、道具持ってかえるね。』
そう言いながら、守衛室を出ていく麻嘉に声をかけることが出来なかったが、今さらなが菜月が活けた花を見て、なんて下品でこのロビーに似つかわしくない"生けかたなのだろうか"と思ってしまう。
尚志の声で回想から呼び戻された篤斗は、こちらを哀愁漂う目で見ている、守衛のおじさんと目があった。
「守衛のおじちゃん、今日も暑いですね。」
篤斗が話しかけると"そうだね。"と微笑んでくれる優しい顔を、何故かいつもほっこりさせられ篤斗の癒しになっていた。でも、なんだか最近は元気がない。篤斗は、気になりながらも、営業先に出掛けていった。
守衛のおじさんはあの時の社長の電話に驚いた。
『えっ?』
『だから、ロビーの花は、私の知り合いの子にさせるから花屋の業者に断りの連絡を入れておいて。守衛さんが業者手配してるんだよね?』
『あの、会長には話されてるんですか?』
『会長には、話していないが会長は関係ないから。』
それだけの電話だった。
守衛のおじさんは、長く会社につとめているため、会社の内情にもかなり詳しい。
会長が麻嘉の実家と懇意にしている訳も知っているし、何故、麻嘉の母、嘉乃にロビーの花を活けてもらっていたのかも知っているため、その話を麻嘉の実家に伝えた時、怒られた訳も分かる。
でも、麻嘉のことを思うとただの守衛には何も言えなかった。
『おじちゃん、道具持ってかえるね。』
そう言いながら、守衛室を出ていく麻嘉に声をかけることが出来なかったが、今さらなが菜月が活けた花を見て、なんて下品でこのロビーに似つかわしくない"生けかたなのだろうか"と思ってしまう。