１００回の好きの行方
　思わぬ本音を言ってしまった麻嘉は、酔いながらも今の自分はどうにかしてるなって思ってしまう。

　"酒は飲んでも飲まれるな"と言うが、本当その通りだと次のビールに手を伸ばした時、千華がボソッと呟いた。

「襲っちゃえば……。出張の時に。」

「千華……。」

「チャンスだよ、きっと。」

　千華の提案に尚志は何も言わなかった。こないだのキスの現場を見れば理性が切れて手を出す姿が想像つくし、菜月がモーションかけても手を出すことないため理性が勝つかもしれない。

　尚志はただ見守ることしか出来ない。

　本当は、あの二人は恋人のふりをしてるだけと教えたいけど教えるわけにもいかない。

　クリスマスまで、麻嘉が忍耐強く待っていないだろうかと、期待をしている。

　その間がすごくもどかしい。

「出来ないよ、そんなこと。」

「……私、思うんだけどさ、今になって、やっぱり初めては好きな人がいいと思うよ？特に麻嘉は、嫌なことあってそーゆーことと疎遠なんだからさ。」

　麻嘉を見る千華の目が真剣で、思わず反らしくなるが何故かそれが出来ない。

「まっ、あんた次第だけどね。」

　これ以上は言わないよと付け加えられたが、その後も飲み食いしながら頭を過るのは、"チャンス"と言う言葉だ。
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