１００回の好きの行方
　来るときは晴れていた空も、雨雲がかかり、今にも雨が振りだしそうであった。

　山の天気は変わりやすく、台風も近づいており風も強くなっていた。

　話し合いも順調に終わり、二人で急ぎ足で、工場から車を止めた車庫に向かうが、途中からポツポツと雨が振り出し、やっと車庫が見えてきたと思ったところで雨が激しくなってきた。

「ヤバイ。雨が激しくなってきた。」

「台風の速度が速くなったのかな？」

　お互いにそう言いながら車庫に着いたところで、行くときは半分開けておいた車庫のシャッターが、完全に閉められているのが分かる。

　篤斗がガチャガチャしてもびくともしない。

「開かない……。」

「えっ！？嘘でしょ！泊まりの荷物も車の中なのに…。」

「台風対策で閉めたんだ、たぶん。」

「工場まで戻る？」

「こんな雨も風も強い中？無理だろ！？」

「じゃーどうするの！？」

　どんどん強くなる雨と風を受けながら、シャッターの前で押し問答をする。

　不意に篤斗がスーツのジャケットを脱ぎ麻嘉の頭に被せ、手を引っ張って走り出した。

　走り出した先は行くときに通らず、工場へいく道とまた分かれしている整備されているが細い道だった。

　

　
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