100回の好きの行方
「麻嘉、ほらっ着替えて来いよ。明日までに服を乾かないぞ?先、風呂入る?」

 ほらっと投げられたのは、篤斗も着ている薄くて本当に布切れの役割しか果たさないようなものだった。

「着替えて来いって……。下着まで濡れてるからこれきても意味ないんじゃないかと。……先にお風呂どうぞ…。」

「はぁ!?お前そのままじゃ風邪引くだろ?それとも明日の朝まで濡れたままでいるのかよ?」

「いやっだから、下着の替えは車の中でしょ?さすがに、下着着なかったら透けそうじゃん……。」

 恥ずかしくて声が小さくなりながら説明すると、篤斗はソファーの前にあったファイルを持って、つかつかと歩いてきた。

「ほら、これで我慢しろ。じゃ先に風呂入るわ。」

 渡されたファイルを握りしめ、コクコクと頷くのが精一杯だった。

 篤斗がお風呂場に消えて行くと、麻嘉はその場にしゃがみこんだ。

 辺りを見渡し、少ない知識でここが世間で言うーラブホテルーと言うのが分かる。

 異様な雰囲気で目の前には大きなベットで、テレビとクローゼットに、二人掛けのソファーにテーブル、お風呂場に続く扉が見える。

 外観からは想像できないほど、部屋は薄暗く、そのギャップが麻嘉の心拍数をあげた。

 

 
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