100回の好きの行方
 ビックリして慌て出す篤斗に、お構いなしで麻嘉は身をのりだし、篤斗の肩に触れた。

「私を女として見れない?」

「……お前、酔ってんのかよ。」

「酔ってるよ、この異様な雰囲気に。」

 じっと篤斗を見つめると、見つめ返された。

 麻嘉はもう恥じらいとか、相手に彼女がいるとかどうでもよくなって、さらに身をのりだし篤斗の唇にそっとキスをした。

 一瞬、篤斗が硬直したような気がしたが、それも本当に一瞬だった。

 麻嘉が唇を外すと、目を細めた篤斗に後頭部を押さえられ、吸い付くように激しくキスをされた。

 麻嘉は、あのときのファーストキスを思いだし、身震いしながらも必死で応えようと、自分で口をあけた。

 それを合図にさらに深く貪るように激しさを増し、キスされながら体を回転させられ、気がついたらベットに仰向けになり篤斗に押し倒されていた。

「……んっ。……んっ、んーー!!」

 恥ずかしい自分の声とは思えない、甘い声が耳に聞こえ急に麻嘉は、我に帰る。

(私、なにしてるの。こんなの、ダメなのに)

 そんな麻嘉に気がついたのか、篤斗が自分から離れるのが分かり、少しほっとしたような残念なような気持ちになるが、篤斗はやめようとしたわけじゃなかった。

「煽ったの、お前だからな。」

 
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