100回の好きの行方
 篤斗はバスローブの紐を解いて脱ぎ捨てた。

「俺、1回じゃ終わんないから。責任とれよ?」

 咄嗟に自分がバスローブの紐を解いて、上半身があらわになっているのを思い出し、胸を隠そうとすると、それに目敏く気がついた篤斗に、両手を耳の辺りで拘束された。

 自分に近づいてくる顔から逃げたくて、目線を逸らすと、一瞬耳朶をカリっと噛まれ首筋から鎖骨まで舌で舐められ、我慢出来なくなった麻嘉は声をあげた。

「……あっ!…っ。」

「可愛い声。」

 篤斗に言われて、恥ずかしいけと嬉かった。

 初めての経験だから、どうすればいいのか、どんな反応すればいいのか、未知の世界。知識でしか知らない世界に、ついていくのが精一杯だ。

「普段露出あんまりしないけど……麻嘉ってスタイルいいよな。男好み……。」

 体を眺められているのに気がつき、さらに恥ずかしさが増す。

「素っぴんでも可愛いし。」

 そう言いながら顔を撫でられ、

「胸も大きいし。」

 そう言いながら軽く胸を触られ、

「ウェスト細いし足も長いし。」

 そう言いながら腰から足を撫でられた。

「肌も滑らかでもちもちしてるし。」

 そんな風に甘く囁かれ、誉められると一瞬自分が恋人のような間違った感覚に陥る。
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