１００回の好きの行方
　一つになったとき、麻嘉が一瞬顔をしかめたのに気がついたが、そんなの気にする余裕もすぐになくなった。

　自分の方が求めるくらい気持ちよくて、宣言通り１回じゃ終わらず、初めは激しく抱いてしまい、次は優しく抱いた。

　最後には麻嘉の可愛くて、色っぽくて、涙目に赤く色づいた羞恥に満ちた顔が見たくて、"どこがいいの？""どうして欲しいの？"と、おねだりするように仕向け、意地悪な抱き方をした。

　その間中、何回も好きだと言われた。

　途中で冷房が消えたのか、二人とも汗が流れていて、その汗さえも麻嘉を色っぽく演出していて、いつのまにか麻嘉は、俺の腕の中で意識を飛ばしていた。

＊＊＊＊＊＊＊

　気がついたら、麻嘉に腕枕し反対の手で抱き締めながら眠っていたようだ。

　大事な恋人を抱き締めているような気分になるが、一瞬で現実に戻される。

　菜月との決着もつかないまま、自分の好きだと言う麻嘉を抱いてしまった。それも、麻嘉の誘いに乗る形で。

　麻嘉は目が覚めたら後悔して、自分を責めるだろう。

　そう言う性格といちばん俺が分かっていたはずなのに。

　自分は、最低な形で麻嘉を傷つけてしまった。

　でも、今だけは色々な現実から逃れたくて、麻嘉を力強く抱き締め、そっと目を閉じた。
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