100回の好きの行方
「イテッ……。」

 キッチンにいる人物が篤斗に気がつき振り替える。

「おはよ。って大丈夫?」

 目の前にはエプロン姿の麻嘉が、お玉片手に篤斗を心配そうにしていた。

「えっ!?なんで……。」

「えっと、勝手にごめんなさい。尚志と千華に呼ばれて」

 申し訳なさそうに話す麻嘉だが、篤斗はなんでこうなったか全く分からない。

「あっおはよう。篤斗。」

 玄関からコンビニの袋を提げた千華が入ってきた。

「あっ篤斗覚えてない?昨日あんた酔っ払って、尚志と抱えてここまで連れてきたのよ?で、私も尚志もここで寝ちぁって、約束してた麻嘉を呼んだのよ!ご飯作れないしね、私。」

 つらつらと篤斗に話す千華には、勝手に部屋に泊まった申し訳なさはなく、近くで話を聞いてる麻嘉のほうが、話の一部始終をオロオロして聞いている。

「はぁ。麻嘉に迷惑かけるなよ……。」

「迷惑なら来ないよ。篤斗、シャワー浴びてきたら?お酒臭いよ?」

 はにかむ麻嘉に促され、昨夜浴びるほどお酒を飲んだことを思いだし、シャワーを浴びに向かった。

 熱いシャワーを浴びながら、久しぶりに見る麻嘉の顔を思い出した。

 実はあれからマトモに顔を見たのはさっきだった。

 
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