100回の好きの行方
「てか、みんなの前であんなこと、言うなよな!」

「公開告白、恥ずかしかったんだろ?」

「ちげーよ。……胸のこと、あんなして暴露すると、皆からエロい目で見られるだろ?」

「えっ、そっち!?」

 篤斗は、どうやら公開告白はあまり気にしていないが、Eカップと叫んだことを気にし、"まじ、馬鹿じゃん、あいつ。"と、心配し、ブツブツなんか言っている。

 確かにあの時、審議するように麻嘉の胸に視線が集中したし、千華がさっき、麻嘉が嫌な思いをしたと教えてくれた。

「その気ないなら、ちゃんと断んないと。」

「ちゃんと断った!そもそも、あんなとこで言うことかよ?冗談、たちの悪い悪戯だ。」

 次のビール缶を空けながら、少しなげやりに話した。

 その言動に呆れながら尚志は、部屋の壁に目を向ける。

 部屋には同期四人で行った、旅行や研修、レジャーに出掛けた時の写真が貼り付けられている。

 特に仲の良い同期で、春は花見、夏はキャンプ、秋は果物狩り、冬はスキーなど、この5年色々行った。

 その間、千華と尚志に恋人がいたこともあったが、麻嘉と篤斗にはいなかった。

 麻嘉は、いつから好きだったんだろう。

 四人の写真を眺めて尚志は思った。
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