好きになるということ。
「あとはねー、若干逆ハー状態になってるのもいいっていうか!美希もこんな風に愛されたい~!イケメン正義って読む度に幸せになるの」
美希がいつも褒めてくれるのはありがたいけど、正直この小説を自分の意思で書いたのかというと──そうではないと思う。
流行っていたものや、勝手に聞いた女子達の話を元に書いただけ。自分の思考や体験して思ったことなんて一切含まれていない。
薄ーーーっペラい本。
女の子がきゅんきゅんしそうなワードを詰め込んだだけの本が売れてしまったことが問題なのだ。
そのせいで、あたしは“勘違い”をしてしまったのだ。
あたしって才能あるのか。なんだできるじゃん。
「美希の言葉はありがたいけど、現実...二冊目も三冊目も売れてないしね...」
だけどそんな甘いものじゃない。
読者はちゃんとわかってる。前作と同じようなものを書いてもつまらない。
───特に、本当の言葉ではないことを読者はちゃんと理解している...