サンタクロースは君だった
「…レオくんが真っ直ぐに想ってくれてることとか、…他にもあるけど、…ちゃんと私も嬉しいです。今までそういうの、本当になかったから。だから…レオくんだけじゃないです。」

 手の温さも、レオのものなのか自分のものなのかわからないくらいに混ざり合っている。
 恥ずかしくて顔が赤くて熱いのもレオだけじゃない。手を繋いだことが嬉しいのも、レオだけじゃない。そして、手袋よりも手がいいと思ってしまっているのも、レオだけじゃない。
 他にもあるという言葉で濁したたくさんの気持ちがレオだけじゃない、ひかりの方にもあると伝えたい。

「…ひかりちゃんも嬉しい?」
「…嬉しいって言いました、私。」
「聞いたけど、…でももう一回聞きたくて。」
「も、もう言わないです!」
「…もー…ひかりちゃんは…ずるい。」
「ず、ずるい!?私が!?」

 手を繋いでいない方の手で、レオが顔を覆った。指の隙間から見える顔はまだ赤い。

「可愛いもん。ずるい。」
「っ…。」

 今度はひかりが顔を隠す番かもしれない。レオが顔を隠しているうちに、この熱をなんとか冷ましたい。

「僕の顔、しばらく見ないでね。赤いのがなくなるまで。」
「…私の顔も見ちゃだめです。熱いので。」
「もしかして、ひかりちゃんも照れてる?」
「…レオくんの言葉に照れない方が…できないです。」
「…そういうのも可愛いもんなぁ、ひかりちゃん。はぁ。」

 小さなため息が落ちてくる。しかし、ひかりの耳はまたしても可愛いという言葉をキャッチし、そちらの方に敏感に反応してしまっている。

「は、早く初詣行きましょう!」
「…頑張って歩くよ。はぁー…もう。」

 くすぐったい気持ちが身体の中を走り回っている。ふわふわして、恥ずかしくて、それでもなんだか嬉しくて。今まで経験してこなかったことがどっと押し寄せて全然ついていけていないのに、そのついていけないひかりをそのまま真っ直ぐに見つめてくれるレオの優しさに、いつの間にか甘えている。

「お願いは決まっているんですか?」
「もちろん。ひかりちゃんは?」
「…着くまでに考えます。」
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