サンタクロースは君だった
* * *
元旦ともあって神社は混んでいた。レオの手がきゅっと強く、ひかりの手を握った。
「…レオくん?」
「手、放しちゃだめだよひかりちゃん。」
昨日まで芸能人だった人と、こんな風に歩いていて大丈夫なのだろうかという不安が突然よぎった。こんな人混みで、誰が見ていてもおかしくない。レオはといえば何の変装もしていない。
「レオくん!だめだよ!」
「え?突然どうしたの?」
「レオくんだってばれちゃう。」
「あ、なんだ、そんなこと?いいんだよ、もう冬木レオンはいないんだから。」
「でもっ…表向きはそうかもしれないけど、ファンの人はそう思わないと思うし…。」
それに、思うことはそれだけじゃない。
「…それに、私が綺麗で美人で…それこそレオくんにつりあうような人だったらいいけど、実際そうじゃないし…。」
きっとファンの人ががっかりする。それこそアイドルのような人気もあったから。冬木レオンの書く詞に、歌声に惹かれていた人ももちろんたくさんいた。しかし、そのルックスも好きで追いかけている人だっている。冬木レオンを取り巻く『好き』という気持ちはきっと、ファンとして好きというだけではないだろう。
「だから…ここまで来て帰るとは言わないので手は放してもらえると…いいのかなって。」
「…ひかりちゃんは綺麗で美人でしょ?」
「え?」
あまりにも、迷いのない言い方で言葉が降ってきて、ひかりの方はレオを真っ直ぐ見つめる以外になかった。
「みんなの冬木レオンはもういない。…ひかりちゃんのレオになりたくて今ここにいるんだから。」
胸が苦しい。ざわざわする。ドクンドクンと音がうるさく鳴り響く。
「行こう。」
繋がれた手が解かれることはなく、そのまま歩く。ひかりの手が熱い。おそらく、レオの手も熱い。そして頬も心臓も熱くて熱くてたまらない。こんな風に真っ直ぐに想いを向けられることが生まれて初めてで、どう受け取るのが正しいのかもわからない。だからこそ、こんな風に曖昧な態度しかとれない。嬉しいとは思っているのに。
そっと手が離れた時、丁度神前まで来ていた。
手を合わせて目をつむるレオの横顔は綺麗だ。それはひかりじゃなくても思うことだろう。しかし、自分を綺麗だと言うのはきっと、レオしかいない。それなのに。
(レオくんは何をお願いするんだろう?)
(…ひかりちゃんは、何を願うのかな。)
元旦ともあって神社は混んでいた。レオの手がきゅっと強く、ひかりの手を握った。
「…レオくん?」
「手、放しちゃだめだよひかりちゃん。」
昨日まで芸能人だった人と、こんな風に歩いていて大丈夫なのだろうかという不安が突然よぎった。こんな人混みで、誰が見ていてもおかしくない。レオはといえば何の変装もしていない。
「レオくん!だめだよ!」
「え?突然どうしたの?」
「レオくんだってばれちゃう。」
「あ、なんだ、そんなこと?いいんだよ、もう冬木レオンはいないんだから。」
「でもっ…表向きはそうかもしれないけど、ファンの人はそう思わないと思うし…。」
それに、思うことはそれだけじゃない。
「…それに、私が綺麗で美人で…それこそレオくんにつりあうような人だったらいいけど、実際そうじゃないし…。」
きっとファンの人ががっかりする。それこそアイドルのような人気もあったから。冬木レオンの書く詞に、歌声に惹かれていた人ももちろんたくさんいた。しかし、そのルックスも好きで追いかけている人だっている。冬木レオンを取り巻く『好き』という気持ちはきっと、ファンとして好きというだけではないだろう。
「だから…ここまで来て帰るとは言わないので手は放してもらえると…いいのかなって。」
「…ひかりちゃんは綺麗で美人でしょ?」
「え?」
あまりにも、迷いのない言い方で言葉が降ってきて、ひかりの方はレオを真っ直ぐ見つめる以外になかった。
「みんなの冬木レオンはもういない。…ひかりちゃんのレオになりたくて今ここにいるんだから。」
胸が苦しい。ざわざわする。ドクンドクンと音がうるさく鳴り響く。
「行こう。」
繋がれた手が解かれることはなく、そのまま歩く。ひかりの手が熱い。おそらく、レオの手も熱い。そして頬も心臓も熱くて熱くてたまらない。こんな風に真っ直ぐに想いを向けられることが生まれて初めてで、どう受け取るのが正しいのかもわからない。だからこそ、こんな風に曖昧な態度しかとれない。嬉しいとは思っているのに。
そっと手が離れた時、丁度神前まで来ていた。
手を合わせて目をつむるレオの横顔は綺麗だ。それはひかりじゃなくても思うことだろう。しかし、自分を綺麗だと言うのはきっと、レオしかいない。それなのに。
(レオくんは何をお願いするんだろう?)
(…ひかりちゃんは、何を願うのかな。)