サンタクロースは君だった
* * *
「わ、レオくんもう来てたんだね。」
「ひかりちゃん!…敬語じゃなくなってる!」
「…努力中…なので、ぎこちないかもしれないけど…頑張り…じゃなくって頑張る。」
「うん!じゃあ、行こうか。」
そっと握られた手を少しだけ握り返す。思えば、初詣以来二人で出掛けていなかった。あまりにも自然に繋がれた手をそのまま握り返してしまった後で、とてつもない恥ずかしさに襲われる。
「レ、レオくん…その…手はこのまま?」
「え、だってひかりちゃんも握り返してくれたじゃん。」
「それはっ…なんか自然と…。」
「自然に握り返してくれるとか…嬉しすぎるから。」
「えっ…いやあの…。」
もう何を言ってもダメな気がする。何を言っても手遅れで、頭が回っていないから墓穴を掘る一方だ。
「それにコートもマフラーも可愛い。お化粧もちょっといつもと違う?」
「…レオくん、鋭い。」
「だってひかりちゃんのことだもん。」
ははっと軽く笑うレオは、まるで芸能人みたいだった。伊達眼鏡にグレーのキャスケットを被っている。
「映画館入る前までしか手を繋げないけど、ひかりちゃんが嫌じゃないならこのまま行こう?」
「…レオくんのそういう言い方はずるいなって思う。」
「ひかりちゃんの優しさに甘えてるだけなんだよ、僕は。」
きゅっと握られた手がひかりを引いた。電車に乗り、他愛もない話をし、都内の映画館を目指す。
「…とある筋から、というのは関係者に知り合いがいるという…。」
「ん、まぁー…そうとも言えるかな。ひかりちゃん、テレビ見る方?」
「…どうだろう…人並かなぁ。」
「成瀬実弥(なるせみや)って知ってる?」
「知ってる…というか、今の時代成瀬実弥を知らない人の方が少数派な気が…。よく雑誌の表紙にもなっているし。それにシークレットポイズンにも出てる。」
「あ、そっか。ひかりちゃん雑誌のコーナーも担当してるんだもんね。」
「成瀬実弥の出る映画はよく当たるし。」
「その成瀬実弥と僕は、実は結構仲がいい。」
「えっ!?」
成瀬実弥は最近人気急上昇中の若手俳優だ。甘いルックスもそうだが、バラエティに出てもよく話し、親しみやすい雰囲気がよりウケている。そんな人と知り合いであるレオに、ひかりは驚きを隠せない。
「というわけで、今日は完成披露試写会関係者席での鑑賞となります。終わったら実弥に挨拶してから帰ろうという算段です。」
「え、…え!?」
「わ、レオくんもう来てたんだね。」
「ひかりちゃん!…敬語じゃなくなってる!」
「…努力中…なので、ぎこちないかもしれないけど…頑張り…じゃなくって頑張る。」
「うん!じゃあ、行こうか。」
そっと握られた手を少しだけ握り返す。思えば、初詣以来二人で出掛けていなかった。あまりにも自然に繋がれた手をそのまま握り返してしまった後で、とてつもない恥ずかしさに襲われる。
「レ、レオくん…その…手はこのまま?」
「え、だってひかりちゃんも握り返してくれたじゃん。」
「それはっ…なんか自然と…。」
「自然に握り返してくれるとか…嬉しすぎるから。」
「えっ…いやあの…。」
もう何を言ってもダメな気がする。何を言っても手遅れで、頭が回っていないから墓穴を掘る一方だ。
「それにコートもマフラーも可愛い。お化粧もちょっといつもと違う?」
「…レオくん、鋭い。」
「だってひかりちゃんのことだもん。」
ははっと軽く笑うレオは、まるで芸能人みたいだった。伊達眼鏡にグレーのキャスケットを被っている。
「映画館入る前までしか手を繋げないけど、ひかりちゃんが嫌じゃないならこのまま行こう?」
「…レオくんのそういう言い方はずるいなって思う。」
「ひかりちゃんの優しさに甘えてるだけなんだよ、僕は。」
きゅっと握られた手がひかりを引いた。電車に乗り、他愛もない話をし、都内の映画館を目指す。
「…とある筋から、というのは関係者に知り合いがいるという…。」
「ん、まぁー…そうとも言えるかな。ひかりちゃん、テレビ見る方?」
「…どうだろう…人並かなぁ。」
「成瀬実弥(なるせみや)って知ってる?」
「知ってる…というか、今の時代成瀬実弥を知らない人の方が少数派な気が…。よく雑誌の表紙にもなっているし。それにシークレットポイズンにも出てる。」
「あ、そっか。ひかりちゃん雑誌のコーナーも担当してるんだもんね。」
「成瀬実弥の出る映画はよく当たるし。」
「その成瀬実弥と僕は、実は結構仲がいい。」
「えっ!?」
成瀬実弥は最近人気急上昇中の若手俳優だ。甘いルックスもそうだが、バラエティに出てもよく話し、親しみやすい雰囲気がよりウケている。そんな人と知り合いであるレオに、ひかりは驚きを隠せない。
「というわけで、今日は完成披露試写会関係者席での鑑賞となります。終わったら実弥に挨拶してから帰ろうという算段です。」
「え、…え!?」