サンタクロースは君だった
2/20 都内某居酒屋個室にて
「で?俺が真剣に仕事の話を持ってきたっつーに、お前は何?」
「え?」
「え?じゃねぇよ。俺の話に乗る気はあんの?」
「んー…どうだろう。」
「…おっまえなぁ…さっきからのろけてますけど、付き合ってないからな?」
「そりゃそうだよ。」
「ぶん殴りたい。」
真顔でそう言う実弥に対し、レオはジョッキを飲み干した。実はお酒に弱くはない。
「まぁ、お前がそういう幸せーな顔してんのも悪くはないけどな。」
「うん、幸せ。…多分、ずっと僕に欠けてた部分はこういうものだったんだと思う。だから未完成な曲ばっかりだった。」
「…そうとも言えるかもな。でも、お前のその未完成な部分に少なからず共感していた人も数多くいたわけだけど。」
「うん。それもとてもありがたいことだってわかってるけど…。」
「それを打破したくて、彼女に会うことにしたんだもんな。あの立ち位置を捨ててまで。」
「そうでもしないと、迷惑がかかる。それに、芸能人として近付くのはずるいだろ?」
「俺はそうは思わないけど。利用できるもんは全部利用してやるってつもり、常にあるし。」
「その辺のハングリーさは、僕と実弥の最大の違いだよ。」
違うからこそ一緒にいられる人。それがレオにとっての実弥であり、実弥にとってのレオだ。
「ま、背負うものが違いますし?俺には金が必要なんだよ。大学行かせてやりてーし、腹立たしいことに彼氏までできやがった。となると結婚費用必要だし。」
「腹立たしいのに結婚は許すんだ。」
「ここで反対して嫌われたくはない。」
「なるほど。そこは弱いわけだ。」
実弥の妹はまだ高校生。父が早くに死に身体を壊して入退院を繰り返す母を背負う実弥は、金のために芸能界に入った。それを知る人は実弥の事務所のごく一部の人間とレオだけだ。
「…そういう強さを、…実弥みたいな強さをひかりちゃんに求められたら、僕は返してあげられないな。」
「ひかりさんがお前にそういう強さを求めてくるとは思えないけどな。」
「うん。僕もそう思う。ひかりちゃんは、多分違う。」
その時、レオのスマートフォンが震えた。
「はい、その顔はひかりさん。」
「あたり。」
「今日の内容は?」
「僕からはひかりちゃんの好きなタイプ。」
「返信まで何時間?」
「朝に送ったから…12時間。最長記録。」
「そりゃそーだ。」
「で?俺が真剣に仕事の話を持ってきたっつーに、お前は何?」
「え?」
「え?じゃねぇよ。俺の話に乗る気はあんの?」
「んー…どうだろう。」
「…おっまえなぁ…さっきからのろけてますけど、付き合ってないからな?」
「そりゃそうだよ。」
「ぶん殴りたい。」
真顔でそう言う実弥に対し、レオはジョッキを飲み干した。実はお酒に弱くはない。
「まぁ、お前がそういう幸せーな顔してんのも悪くはないけどな。」
「うん、幸せ。…多分、ずっと僕に欠けてた部分はこういうものだったんだと思う。だから未完成な曲ばっかりだった。」
「…そうとも言えるかもな。でも、お前のその未完成な部分に少なからず共感していた人も数多くいたわけだけど。」
「うん。それもとてもありがたいことだってわかってるけど…。」
「それを打破したくて、彼女に会うことにしたんだもんな。あの立ち位置を捨ててまで。」
「そうでもしないと、迷惑がかかる。それに、芸能人として近付くのはずるいだろ?」
「俺はそうは思わないけど。利用できるもんは全部利用してやるってつもり、常にあるし。」
「その辺のハングリーさは、僕と実弥の最大の違いだよ。」
違うからこそ一緒にいられる人。それがレオにとっての実弥であり、実弥にとってのレオだ。
「ま、背負うものが違いますし?俺には金が必要なんだよ。大学行かせてやりてーし、腹立たしいことに彼氏までできやがった。となると結婚費用必要だし。」
「腹立たしいのに結婚は許すんだ。」
「ここで反対して嫌われたくはない。」
「なるほど。そこは弱いわけだ。」
実弥の妹はまだ高校生。父が早くに死に身体を壊して入退院を繰り返す母を背負う実弥は、金のために芸能界に入った。それを知る人は実弥の事務所のごく一部の人間とレオだけだ。
「…そういう強さを、…実弥みたいな強さをひかりちゃんに求められたら、僕は返してあげられないな。」
「ひかりさんがお前にそういう強さを求めてくるとは思えないけどな。」
「うん。僕もそう思う。ひかりちゃんは、多分違う。」
その時、レオのスマートフォンが震えた。
「はい、その顔はひかりさん。」
「あたり。」
「今日の内容は?」
「僕からはひかりちゃんの好きなタイプ。」
「返信まで何時間?」
「朝に送ったから…12時間。最長記録。」
「そりゃそーだ。」