サンタクロースは君だった
* * *
3月14日、仕事終わりの少しボロボロな姿で一度帰宅し、化粧を直す。さすがに少しテカった顔で会うわけにはいかない。9時半も過ぎた頃、レオに連絡を入れる。
「今から出るんだけど、レオくん大丈夫?」
「うん。お待ちしてます!」
返事は早かった。ひかりはふぅと息を吐き、外へと踏み出した。レオのマンションまで歩く道にも随分慣れた。合鍵を使うことはどうしてもできなくて、インターホンを押してしまう。今日も例に漏れず、インターホンを鳴らす。
「おかえり!お仕事お疲れ様!」
「ありがとう。…あれ、いい匂い?」
「うん。今日はおでんを作ってみました!一緒に食べよう。」
「うわぁ!ありがとう。あったかいものが食べたかった…。」
「でしょ?今日寒かったもんね。」
レオの部屋で最初に感じていた緊張感が、今は少しずつ薄れていた。慣れたということもあるけれど、きっとそれだけではないのだろう。
「ひかりちゃんはおでんの具だと何が好きなの?」
「うーんと…大根とはんぺんかな。レオくんは?」
「はんぺん!あと餅巾着!」
「じゃあ今度おでんやるときははんぺんが多めだね。」
「うん。」
知らないことを知ることができることが、こんなにも嬉しいと教えてくれたのはレオで。自分の中でまとまらない気持ちを少しずつ受け止めてくれているのもレオで。レオの優しさが充満するこの空間で、ただひたすらレオの優しさを享受するだけでいられるこの時間が、少しずつひかりを素直にさせてくれている気がする。
「…へへ。」
「え?な、なんかレオくん嬉しそう?」
「あ、ばれた?だってさ、今度のおでんの話するとか…なんか嬉しいなぁって。ひかりちゃんは僕の嬉しいポイントをつくのがほんっと上手。」
「そんなこと…。」
「そんなことあるからね。さて、僕はひかりちゃんの嬉しいポイントをちゃんとヒットさせられるかなぁ。」
レオの方が上手だと、ひかりは本気で思う。
3月14日、仕事終わりの少しボロボロな姿で一度帰宅し、化粧を直す。さすがに少しテカった顔で会うわけにはいかない。9時半も過ぎた頃、レオに連絡を入れる。
「今から出るんだけど、レオくん大丈夫?」
「うん。お待ちしてます!」
返事は早かった。ひかりはふぅと息を吐き、外へと踏み出した。レオのマンションまで歩く道にも随分慣れた。合鍵を使うことはどうしてもできなくて、インターホンを押してしまう。今日も例に漏れず、インターホンを鳴らす。
「おかえり!お仕事お疲れ様!」
「ありがとう。…あれ、いい匂い?」
「うん。今日はおでんを作ってみました!一緒に食べよう。」
「うわぁ!ありがとう。あったかいものが食べたかった…。」
「でしょ?今日寒かったもんね。」
レオの部屋で最初に感じていた緊張感が、今は少しずつ薄れていた。慣れたということもあるけれど、きっとそれだけではないのだろう。
「ひかりちゃんはおでんの具だと何が好きなの?」
「うーんと…大根とはんぺんかな。レオくんは?」
「はんぺん!あと餅巾着!」
「じゃあ今度おでんやるときははんぺんが多めだね。」
「うん。」
知らないことを知ることができることが、こんなにも嬉しいと教えてくれたのはレオで。自分の中でまとまらない気持ちを少しずつ受け止めてくれているのもレオで。レオの優しさが充満するこの空間で、ただひたすらレオの優しさを享受するだけでいられるこの時間が、少しずつひかりを素直にさせてくれている気がする。
「…へへ。」
「え?な、なんかレオくん嬉しそう?」
「あ、ばれた?だってさ、今度のおでんの話するとか…なんか嬉しいなぁって。ひかりちゃんは僕の嬉しいポイントをつくのがほんっと上手。」
「そんなこと…。」
「そんなことあるからね。さて、僕はひかりちゃんの嬉しいポイントをちゃんとヒットさせられるかなぁ。」
レオの方が上手だと、ひかりは本気で思う。