サンタクロースは君だった
* * *

「それでー?まだ付き合ってないの?」
「…う、あの…勇気と自信が…ないんです。」

 お洒落なカフェで、友人に睨まれながら説教をされているなんてひかりくらいだ。

「この前ご飯行ったのって3月よね?それで今、同棲1ヶ月?それで何?キスもなけりゃもちろんセック…。」
「うわあああ!絵美里!真昼間から何言って!」
「いやいや、時間関係ないでしょ。ていうか何?冬木レオンも男として大丈夫なのかしら。普通好きな女と一つ屋根の下に暮らしてたらがっつかないわけないでしょ。」
「…いや、レオくんはそういう感じでは…。」
「か、童貞なのか…。まぁその可能性なきにしもあらずよね。早くから芸能界入りしてるし、まぁ俳優さんでもないし?別に経験なきゃやっていけない世界でもないでしょうし。」
「…絵美里さん、お昼です。」
「だから、お前たちはどこまでプラトニック気取れば気が済むんだって話よ?大体、そんだけ好き好き言い合ってるくせに付き合ってないの?付き合ってるわよね?」

 あまりの勢いでまくしたてられて、ひかりの方はといえば逃げ出したくなっていた。

「…好き好き言い合ってないよ。…レオくんの曲が好きとか、味が好きとかそういうことは言えるけど…レオくんのことが好きって言えない…し。」
「はぁー…。中学生の恋バナですか、これ。」
「…経験値的にはそんなものです。」
「そうでした。ピュアピュア処女、30歳。対するは21歳童貞疑惑のエンジェルボイスだもんね。前途多難すぎ。それなのに同棲はしてるんだからすごいわよね。夜とかどうしてるの?」
「部屋は別だもん。」
「一緒に寝たことは?」
「ないよ!お仕事のペースとか違うし!」
「ぶっちゃけ、どこまでやってんの?」
「っ…!」

 昼間など、天下の絵美里にかかれば何の問題もないらしい。

「どこまで…もない、よ。」
「手は繋いだ?ハグくらいはあるよね?」

 ひかりは静かに頷いた。

「え、この上なんだろう…普通はキス?ないんだよね?ほっぺとかも?」
「な、ないよっ!あるわけ…!」
「ないよねー…知ってた。それで、彼の誕生日をどうしようかっていう話だっけ。」

 今日の本題はそこだった。
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