サンタクロースは君だった
「そのピアスを貰ったんだっけ。確かによく似合ってる。」

 センスのいい絵美里にそう言われれば、ひかりにとっても自信になる。

「わかってるのね、向こうは。ひかりにはどういうものが似合うのかって。そしてひかりはこのピアスを大切にしてる。…こういう状態をラブラブって言います、世間では。」
「…そ、そういう…感じ、なのかな…。」
「もういいじゃない。誕生日いつだっけ。」
「6月3日。」
「私をあげます。私がプレゼント。レオくんのことが大好き!どうにでもして!決まったよプレゼント。」
「む、無理だよ!ていうかこのピアスに全然見合わな…。」
「見合うに決まってるでしょ。ピアス以上だわ。」

 ぴしゃっと言われてしまえばひかりには太刀打ちできない。

「今の冬木レオンが欲しいもの、第一位が美潮ひかりだから。」
「……。」

 私も好き、そう言ったらレオがどんな顔をするのだろう。喜んでくれるのかな、なんてそんなことを考えては消して、考えては消すのを繰り返している。今のままでも十分に幸せで、レオの傍にいられることが当たり前になっているこの日常をわざわざ気まずくしてしまうのも何だか気が引けた。勇気を出せない自分への言い訳でしかないことはわかっているけれど。

「好きな人に好きって言われるの、やっぱり嬉しいものよ。」
「え?」
「私はあんまり言わないけど、でも、たまーに言ってあげると喜ばれるし。」
「そうなの?」
「まぁ、年下男子なんてそんなもんよ。」
「絵美里の彼氏、年下だったっけ…?」
「現在の彼氏は2歳下。仕事もよくできる、いいやつだよ。」

 少しだけ頬が優しく緩む絵美里を見ていると、ひかりの方まで幸せな気持ちになる。

「…レオくんの誕生日に、ちゃんと気持ちを伝えます。」
「よし!それでこそ、私の友達よ、ひかり。」
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