サンタクロースは君だった
* * *

「はぁ!?音信不通!?」
「…どうしちゃったんだろう…家に帰ってこないんだよ。」
「最後に会ったのっていつ?」
「18日。」
「明日で2週間じゃない!誕生日って3日じゃなかった?」
「うん。」
「どうすんのよ…。」
「どうするもなにも…既読にもならない。」

 18日に会ったのを最後に、レオと連絡が取れなくなっていた。メッセージを送っても、電話をしても返ってこない。

「家に戻ってこないって…どこぞのホテルにでも住んでるのかしら。」
「…無事というか、お仕事とかで出張とか、そういうのだったらいいんだ。心配だけど、元気なら。でも元気かどうかもわからなくて…。」
「ったく何やってんのよ冬木レオンはー…。って待って。ちょ、ちょっと。ひかり今家?」
「そうだけど…。」
「テレビ!テレビつけて!大変なことになってる。」

 絵美里に言われるがままにテレビの電源をつけた。すると、とあるチャンネルで週刊誌が取り上げられていた。

『冬木レオンさん芸能界引退の真実と銘打たれた記事が出ておりますね。』
『なるほど…結婚秒読みの方との同棲ですか。』
『それが芸能界引退の真実なんですか?』

「…な、…にこれ…。」
「服装から察するにひかりよね、これ。」

 顔にモザイクはかかっているものの、取り上げられた記事の写真に写っていたのはひかりだった。

「…なるほど。だから冬木レオンは帰ってこれない。今日出た記事なのね。今日休みで良かったわね。多分そのマンションの下、来てるんじゃない?」
「…怖くて見れない。」
「見なくてよろしい。」
「ど、どうしよう…私どうしたら…。というか私のせいで…。」
「ひかりのせいじゃないでしょ。それに、冬木レオンのせいでもない。どっちのせいでもないから、そこを気にしないであげないと、冬木レオンが苦しいよ。」
「…でも…。」
「ひかりのことを好きで、ひかりを傍に置きたがった冬木レオン。冬木レオンのことが好きで、傍にいたくなったひかり。ひかりが悪いなら冬木レオンも悪いことになるけど。」
「…わ、悪くない、です。」
「それでよし。問題はこの後どう動けばいいかってことだけど…。」
< 70 / 91 >

この作品をシェア

pagetop