サンタクロースは君だった
「お前…好き放題言いやがって。」
「いやーいつまで口塞がないで我慢できるかなって。でも、嘘は何一つ言ってない。」
「そうだけど。嘘言わなきゃいいってもんでもないだろ。」
「でも、これでひかりさんのメッセージ読めるよ。」
「…読んだら、崩れそうだ。」
「崩れないだろ。そんな崩れそうなメッセージを送ったようには思わなかったけど。」
「どういう意味?」

 実弥が右の口角を上げて笑った。

「ひかりさんはさ、お前よりも年上の優しい優しい完成された人だよ。そんな人がお前を崩すようなことを言ってくるとは、俺にはどうしたって思えない。」

 ずっと見ないようにしてきたメッセージの数、毎日1通ずつ。

『レオくん、まだお仕事ですか?』
『ちゃんとどこかで休めていますか?それだけが心配です。』
『少し暑くなってきたから、無理しないでね。』
『帰ってくるときは連絡ください。炊き込みご飯、作っておくね。』

 帰ってきてだなんて泣き言は一つもなく、レオの身を案じるメッセージばかりだった。そして今来たメッセージ。

『テレビ、見ました。
久しぶりにレオくんの声が聞けて安心しました。ちょっと元気がなかったのが気になったけど。
私のことをたくさん心配してくれてありがとう。私は大丈夫だし、マンションの下も大丈夫そうです。
6月3日は、放送後忙しくなっちゃうのかな。できれば、やっぱりその日だけは会いたいです。』

「っあー…泣きそう。」
「言うと思った。泣くなよ、お前が泣くと面倒くさい。」
「…やっぱひかりちゃん大好きすぎる。」
「知ってんよ、そんなこと。」
< 73 / 91 >

この作品をシェア

pagetop