サンタクロースは君だった
「ひかりちゃん。」
「なんでしょう?」

 レオがひかりから少し距離を取った。

「…僕は、恋愛経験もないし、取柄といえば音楽を作ることと歌うことくらいしかなくて…それでも、やっぱり隣にはひかりちゃんがいてほしいんだ。だから…えっと、嫌われないように頑張り続けるから…これからも僕の隣にいてください。」

 レオが深く、頭を下げた。ゆっくりと目が合うと、優しい表情にほっとする。

「え、えっとじゃあ私も…恋愛経験、レオくんが全部初めてだし、年の割には落ち着いてないし、自信もないし…取柄も…ない、けど…レオくんのことを好きだって気持ちは…誰にも負けないようにしたいって思うので…よろしくお願いします。」

 ひかりの方も頭を下げる。顔を上げると、そのままぎゅっと抱きしめられた。

「…初めて同士だから、ゆっくり僕たちのペースで進んでいこうね。」
「…うん。」
「多分キスもハグも僕が我慢できなくなってしちゃうと思うけど、たまにはひかりちゃんもしてね。」
「う…が、頑張る。」
「僕にされて嫌なことはちゃんと言ってね。やめるから。」
「…レオくんにされて嫌なこと、…ないけど、ね。」
「へっ…?」

 ひかりの方もぎゅっと抱きしめ返す。

「…全部、嬉しいから。さっきの…えっと、キスも…恥ずかしいけど…レオくんだから嬉しい。」
「っはぁ…。ねぇ、ひかりちゃん、…その純度はさぁ…僕、調子に乗りそうだよ。」
「え?」
「抱き付いたまま、そんな目で僕を見るでしょー?ちゅーしちゃうぞ。」
「う…あ…え…?」
「隙あり。」

 いたずらに笑ったレオはなお、ひかりを離してはくれない。

「10年間言えなかった分、触りたかった分、これから存分にやらかしていく所存なので、その辺もよろしくね、ひかりちゃん。」
「う…は、はい…。」
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