I need you !
シアトルで
シアトルでは、魁の家族が首を長くして待っていてくれた。
魁は、仕事があるから、その間は、シンシアとルシアに会いに行った。
ルシアには、日本のオモチャと、可愛いニット帽子をプレゼントに用意した。
けん玉は、まだ早いかなと思ったが、持って行くと、なんとアランの方が夢中になった。ぶつけると危ないから、注意してほしいな。
福笑いは、クリスマスで集まった時に、みんなで楽しんだ。
クリスマスから2日後、
《ユーリ、明日の夜、取引先と会食があるけど、母と過ごしてくれる? それが、今年最後の仕事だからね。》
《もちろん、OKだよ。》
《その後は、ずっと一緒にいられるから。》
次の日、静おばさんと、ショッピングをし、ブラウン氏も遅くなるからと、外食をすることにした。
そろそろ和食が恋しいだろうと、和食レストランのあるホテルに行った。
美味しい食事を終え、レストランからエントランスへ向かう途中、ふと、エレベーターの方が気になった。
エレベーターに乗り込む男性が、魁に似ていたのだ。その男性の腕には、べったりと、スタイル抜群の金髪の女性がくっついていた。
私は、自分の目を疑った。
「悠里、どうかした?」
「見間違いです。魁に見えてしまいました。
こんなところにいるわけないですよね。」
「魁は、今日は仕事なんでしょ。」
「ええ、そう言っていました。」
「なら、やはり見間違いね。さあ、帰って、さっき買ったケーキを食べましょう。」
私は、胸騒ぎを覚えながら、エレベーターをまた見てしまった。