I need you !
その夜、魁は、0時になっても帰らなかった。
朝、目を覚ますと、魁が隣で寝ていて、ほっとした。
だが、魁から、微かに甘い香水の香りがした。
一体、誰と一緒にいたの?
昨夜見たエレベーターの映像が、頭から離れない。
魁を起こさないようにそっと起きて、リビングに下りると
「おはよう、悠里。昨夜は、魁、ずいぶん遅かったのね。」
「おはようございます。私が寝てから帰ってきたみたいです。グランマのところへ行くのは、午後からだから、もう少し、寝ててもらいますね。」
「昨夜は取引先との会食にしては、遅すぎるわね。 疑うわけではないけど、はっきり聞いておいた方がいいわよ。 男性は、誤魔化せるとわかると、奥さんに隠れて悪さをするからね。手綱は、我々奥様方が握るのよ、悠里。」
「はい、そうします。私も、誤魔化されるのは、嫌なので。」
「お互いに、隠し事は、してはいけないわ。それが長く続けていくコツかな。」
11時頃、魁が起きてきた。
静おばさんは、グランマに持っていく、注文していたお菓子を受け取りに行った。
「魁、何か食べる?」
《ユーリ、日本語になってる。ママと話す時、日本語だろ?》
《あっ、そうかも。》
《昨日は、ちょっと飲み過ぎた。今は、何も欲しくないや。》
《ずいぶん遅くまで、食事してたのね。その後飲みに行ったの?》
《いや、食事は、予定通り終わったよ。その後、モデル時代の友達に偶然あって、パーティーに誘われてさ。ちょっと顔を出すつもりが、モデル仲間が結構いて、飲まされてしまったよ。》