I need you !
アランは、私たちに今朝の新聞を見せた。
そこには、魁が金髪女性と腕を組んで、ホテルに入っていく姿、そして、金髪女性が魁に飛び付きキスをしている後ろ姿、の2枚の写真が掲載されていた。
見出しは、
【メリッサ熱愛!元恋人レオンと】
【再熱!メリッサとレオン、熱い夜を過ごす】
などなど。
これを見た魁は、頭を抱え込んで、深いため息をついた。
《これを信じたのか?》
私は、頭の中が真っ白になった。
そして、エレベーターの前のふたりの姿が浮かび、その瞬間、部屋を飛び出していた。
丁度開いたエレベーターに飛び乗り、一階に下りた。
マンションを出て、しばらく歩き続けた。気がつくと、ステーションの前に立っていた。
バックの中のスマホが鳴っている。たぶん魁だろう。
今は、話したくない。
電車に乗ってどこかに行ってしまおうかとも、思ったが、ここは日本ではない。
どこにも行けない。
ふと、見上げると、見馴れた日本のシティホテルがある。
迷わず、私は、そこに入っていった。
シングルの部屋が空いていて、ラッキーだった。
5階から街を眺めても、何も考えられず、「心ここにあらず」状態だった。
魁は兎も角、他の家族に心配をかけたくない。
私は、静おばさんにだけ、居場所を知らせ、黙っていてほしい、そして、しばらくひとりで考えさせてほしいと、頼んだ。
「わかったわ。絶対に無茶しないと約束してね。危険だから、ひとりで出歩かないでよ。」
と、静おばさんは、私の頼みを聞いてくれた。