I need you !
ユーリと出会った時、彼女はまだ高校生だった。
黒くてクリンとした目、真っ直ぐで艶やかな黒髪、俺は、一瞬で虜になった。
だから、わざと、子ども扱いをしていた。
自分の気持ちを認めたくなかったから。
ユーリが帰国した後、俺は無意識のうちに、黒髪の女の子を捜してしまっていたんだ。
3年後、ユーリのことが家族の間で話題になった時、「また来るといいなあ、」的なことをくちばしった。
母が、すかさず、俺に
《美保ちゃんに悠里をシアトルに来させるように、話してみるよ。》
この時すでに、母には、俺の気持ちがわかってしまっていたんだろう。
再会したユーリは、すっかり大人に成長していて、回りを見て話したり、相手を思いやりながら行動できたり、日本女性のすばらしい面をたくさん見せてくれた。
自己主張の強いアメリカ女性に、うんざりしていた俺は、ユーリに夢中になった。
休日は、時間の許す限り側にいて、俺を意識させようとした。
なにしろ、期限が決まっているのだから、のんびり口説いてはいられない。
やっと最後の時間に、ユーリを自分の物にできた。
それからは、ユーリしか欲しくなかった。
日本にも、時間を遣り繰りして、足を運んだ。
ユーリを手放したくなかったから。