I need you !



ユーリと出会った時、彼女はまだ高校生だった。
黒くてクリンとした目、真っ直ぐで艶やかな黒髪、俺は、一瞬で虜になった。

だから、わざと、子ども扱いをしていた。

自分の気持ちを認めたくなかったから。


ユーリが帰国した後、俺は無意識のうちに、黒髪の女の子を捜してしまっていたんだ。




3年後、ユーリのことが家族の間で話題になった時、「また来るといいなあ、」的なことをくちばしった。

母が、すかさず、俺に

《美保ちゃんに悠里をシアトルに来させるように、話してみるよ。》

この時すでに、母には、俺の気持ちがわかってしまっていたんだろう。

再会したユーリは、すっかり大人に成長していて、回りを見て話したり、相手を思いやりながら行動できたり、日本女性のすばらしい面をたくさん見せてくれた。

自己主張の強いアメリカ女性に、うんざりしていた俺は、ユーリに夢中になった。

休日は、時間の許す限り側にいて、俺を意識させようとした。

なにしろ、期限が決まっているのだから、のんびり口説いてはいられない。

やっと最後の時間に、ユーリを自分の物にできた。

それからは、ユーリしか欲しくなかった。

日本にも、時間を遣り繰りして、足を運んだ。

ユーリを手放したくなかったから。






< 19 / 39 >

この作品をシェア

pagetop