I need you !


パーティーの開始ぎりぎりに、魁は、やっと現れた。

《魁、遅いよ。ずっと待ってたよ。》

ちょっと、拗ねてみた。

今までは、いい子で接していたけど、魁が、もっと甘えてほしいと言うから、この頃は、身内らしい態度になりつつある。

お互いに、自分の地を出して行かないと、疲れるからね。

相手の長所も短所も、好きになっていけるって、幸せだと思う。


《ごめんよ。報告会の後、役員だけの打ち合わせがあってさ。思ったより、時間がかかったな。》

《お疲れ様でした。パーティー遅れるよ。早く行こう。》

《わかった。そんなに引っ張るなよ。俺の挨拶がないと、パーティーも始まらないよ。》

《魁が、挨拶するの?》

《そう、今日は、おやじがいないから、その代理。》

パーティー会場に、魁と腕を組んで入ると、沼田さんが、小走りに駆けてくる。

《専務、皆さんお待ちですよ。悠里さんは、私が。》

《すまない。ユーリを頼む。ユーリ、挨拶の間、沼田といてくれ。》

《わかった。》

魁は、中央の一段高いところへ向かって行った。
沼田さんと私は、左手奥で、控えていた。

魁の馴れた挨拶が終わり、パーティーが始まった。





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