I need you !
パーティーは、会社の内部、つまり会社員とその関係者なので、和気あいあいした雰囲気が漂っている。
「専務、そちらが、フィアンセですか?」
と、所々で聞かれ、そのたびに魁が、
「Yes, she is my honey ! (そうだよ。彼女が、俺の愛しい人だよ。)」
と、満面の笑顔で答えるから、こっちが恥ずかしくなる。
「専務、都築さん、こんばんは。」
「ああ、高科くん。今夜は、いろいろ準備や手配、ご苦労様だったね。ユーリ、秘書科の高科くんだ。このパーティーを仕切ってくれたんだ。」
「そうだったんですか。改めまして、ありがとうございます。」
と、私がお礼を言うと、魁が怪訝(けげん)そうに、
「ん、知り合い?」
「いえ、直接の知り合いではなくて、弟の大学の友達だそうです。先ほど、ラウンジで弟から紹介されました。」
「それはそれは、世の中は、狭いね。」
「都築さんにどこかで会った気がしたのは、専務の机上の写真に見覚えがあったからですね。」
「こらこら、それは内緒!」
「あら、失礼しました。でも、ばれちゃいましたね。」
《魁、私の写真、飾ってあるの?》
《そうだよ。俺の活力の元だ。》
弟の高科君が、
「都築さんって、専務のフィアンセなの?」
《ユーリは、俺のだ。手を出すな。》
魁が、恥ずかしいことをさりげなく、英語で言う。
高科圭太君は、驚いた表情を隠しもせずに、私たちを見ていた。