I need you !


パーティーは、会社の内部、つまり会社員とその関係者なので、和気あいあいした雰囲気が漂っている。

「専務、そちらが、フィアンセですか?」

と、所々で聞かれ、そのたびに魁が、

「Yes, she is my honey ! (そうだよ。彼女が、俺の愛しい人だよ。)」

と、満面の笑顔で答えるから、こっちが恥ずかしくなる。




「専務、都築さん、こんばんは。」

「ああ、高科くん。今夜は、いろいろ準備や手配、ご苦労様だったね。ユーリ、秘書科の高科くんだ。このパーティーを仕切ってくれたんだ。」

「そうだったんですか。改めまして、ありがとうございます。」

と、私がお礼を言うと、魁が怪訝(けげん)そうに、

「ん、知り合い?」

「いえ、直接の知り合いではなくて、弟の大学の友達だそうです。先ほど、ラウンジで弟から紹介されました。」

「それはそれは、世の中は、狭いね。」

「都築さんにどこかで会った気がしたのは、専務の机上の写真に見覚えがあったからですね。」

「こらこら、それは内緒!」

「あら、失礼しました。でも、ばれちゃいましたね。」


《魁、私の写真、飾ってあるの?》

《そうだよ。俺の活力の元だ。》

弟の高科君が、

「都築さんって、専務のフィアンセなの?」

《ユーリは、俺のだ。手を出すな。》

魁が、恥ずかしいことをさりげなく、英語で言う。

高科圭太君は、驚いた表情を隠しもせずに、私たちを見ていた。
< 27 / 39 >

この作品をシェア

pagetop