I need you !


5年生になると、薬局実習と、病院実習がある。実際に行うのはとても緊張して、初日は、1日が終わると、ぐったりだった。

これが、半年位続くのだ。

なかなか魁のマンションにも行けない状態だ。

魁の方も、忙しいらしく、この頃は海外出張が続いていて、ずっと会えない。

もう、1ヶ月は、会ってないなあ。

メールで連絡は取っているが、ふと、抱き締めて欲しくなる。

私って寂しがりやだったかな。



6月に入り、そろそろ夏服が欲しいなあと、休日の午後、ぶらぶらとショッピングに出掛けた。

夏乃を誘ったが、来週提出の課題が終わらないからと、断られてしまった。

7月には、魁の誕生日もあるし、男性物も見てみようと、魁の好きなブランドショップに入った。

入った瞬間、高科圭太さんが、目の前にいた。

思わず、店を出ようとすると、向こうも気づいて、
「都築さん、なんで逃げようとするかな? 俺、すごーく傷ついたけど。」

「ごめんなさい。びっくりしてしまって。 他意はないから。」


「いいよ、許す。その代わり、一緒にお茶してよ。」

「お茶?」

「食事でも、いいよ。」

「でも、そういうのは、ちょっと。」

「彼氏に遠慮してるの? 」

「やはり、個人的には止めた方がいいと思うわけで、誤解されてもお互いに迷惑がかかるしね。」

「遠慮なら、いらないと思うよ。彼氏と姉貴、今一緒にシアトルにいるの、知ってた?」
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