I need you !
「「ただいま」」
料亭「つづき」の右奥にある自宅の方へ帰ると、久しぶりに祖母が来ていた。
「おばあちゃん、久しぶりだね。急にどうしたの?」
おばあちゃんは私の質問には答えずに、魁の方を向いて、
「無事に会えてよかったね、魁」
「大学はすぐにわかったけど、大学の中では探したよ。薬科大は、女の子ばかりで、華やかだったなあ!」
おばあちゃんは、魁が日本に来た事を、前以て知っているようだった。
「おじいちゃんは、一緒じゃないの?」
「いま、店に行っているよ。もう戻って来る頃かな。」
「魁が来て、おばあちゃんたちが来て、一体全体、どうなっているの?」
その後、おじいちゃんと父も帰って来た。
父から、
「明後日、正式に魁と悠里の婚約式をするから。」
「えっ、」
「魁が、日本支社にいる間に結婚式もしなきゃな。」
「なんか、話の展開が見えないんだけど。」
「魁の立場上、悠里の存在を発表しておいた方が、これから何かと都合がいいんだよ。」
困惑ぎみの私を見て、魁が、
「悠里、ごめんな。派手なことを嫌う悠里の気持ちは、十分わかっている。でも、これからいろいろ、公的な場所に出なければならなくなる。その時、堂々と側にいてほしい。」