I need you !
きっと、今までの私なら、魁が帰ってくるまで、行動できずに、悶々として過ごしたはず。
でも、私は、世間に認められた婚約者なのだ。
問いただす権利を有している。
21時を待って、シアトル朝5時、魁の携帯にかけた。
《ハロー、ユーリ? ずいぶん早いね。》
《おはよう。もう起きていたの?》
《ああ、今朝、早い飛行機に乗る予定だからね。》
久しぶりの魁の声に、嬉しい気持ちが溢れてきた。
それも束の間、
「専務、これも持っていきますか?」
高科秘書の声に、違いない。
こんな早く部屋にいるなんて。
私は、携帯を切っていた。
案の定、次の日の実習は、集中できず、何回もミスをして指導を受けた。
頭の中は、魁の事で一杯だった。
私は大バカだ。
どうして、ちゃんと話をしなかったのだろう。
たとえ彼女に誘惑されたとしても、魁が乗るわけない。
信じよう。
そう思えたのは、実習が終わった後だった。
私は、魁にメールを送った。
【途中で携帯を切ってごめんなさい。帰って来たら話があります。私は魁を信じているからね。】
まもなく、返信があった。
【今夜、マンションに来れる?7時頃には、帰ってる。】
魁に会えると思ったら、走り出していた。