I need you !
さあ、病院実習が始まった。
昔と比べると、外部薬局に変わったから、さほど忙しくはないらしい。
でも、昔の忙しさを知らない私たちにとっては、やはり忙しく感じてしまうのは、贅沢だろうか。
忙しくても、家に帰ると、夕食ができていることに感謝せずにはいられない。
魁も、美味しい夕方食べたさに、できるだけ早く帰宅する。
お互いに忙しくても、毎晩ベッドを共にできるのは、幸せだ。
愛しあった後、裸のまま寝てしまうことが多いが、10月に入り、朝方の寒さを感じるようになった。
ある夜、
《魁、パジャマ着ようよ。》
《やだ。このまま、ユーリを抱き締めて寝たい!》
と、拒否された。
《でも、風邪ひくよ。結婚式も近いから。》
《だぁーめ。ずっとこうやって寝たい!》
魁が、こんなに我が儘だなんて、知らなかった。
お互い身体を寄せあって眠るのは、とても気持ちがいいもんだ。
愛する人と肌と肌を合わせるのは、極上の幸せだと言うことを、身をもって知ることができた。
もう、離れていることなんて、できるはずがない。
私たちは、自分の半身のごとく、お互いの存在を必要としているのだ。
そんな相手に巡り会えた私たちは、世界一の幸福者だろう。
絶対にこの手を離さない。
隣で眠る魁のスースーと言う静かな寝息を聞き、幸せを噛み締めている悠里だった。