I need you !
昨夜、思った通り、夏乃から連絡がきた。
「あれが、例のフィアンセなの? 想像以上にランクが高いね。」
「そう? 甘えん坊なところもあるよ。今日は、驚かせてごめんね。今度、紹介するね。私も突然でびっくりしちゃったから。」
「しばらく日本にいるの?」
「うん、そう。実はね、日本支社に転勤してきたの。だから、2、3年は、こっちにいると思う。」
「じゃあ、いつでも会えるね。よかったね。」
近いうちに、友達にも紹介したい。
そして、婚約式が始まった。
シアトルから、魁の両親も来てくれて、挨拶をしてくれた。
もちろん、招待客がほとんど日本人だから、ブラウン氏は、日本語で挨拶をした。
静おばさんの特訓の成果が、十分出ていた素晴らしい挨拶だった。
パーティーなんて、初めての経験だから、戸惑うことばかり。魁に付いて歩き、側で微笑んで、相槌を打つのが精一杯だ。
魁は、慣れていて、全く動じない。
まあ、いつでもマイペースで、尺にさわるったらない。
「専務。」
きれいな、凛とした女性が、魁に声をかけてきた。
「ああ、君か。ユーリ、紹介するよ。日本で俺の秘書をすることになった、柳沢千津(やなぎさわちづ)だ。」
「悠里さん、よろしくお願いいたします。」
魁は、このきれいな人と毎日一緒にいるのか、と気持ちがざわついた。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
こうして、無事婚約式は終了し、私たちは晴れて婚約者になった。