溢れるほどの好きを君に
「…んだよこれ」
「長谷部くんどうしたの?」
そう言って長谷部くんの見ている先をみると
「なにこれ…」
私が1ヶ月以上かけて作った衣装がビリビリに破かれているのが見えた。
「桜井っ…」
長谷部くんが心配した目で私を見る。
それと同時にすごく怒ってるのがわかった。
長谷部くんがここまで怒りをあらわにするのは初めて見た。
「大丈夫だよっ、長谷部くん。私直すから」
大丈夫。
今から直せば間に合うはず。
破れた衣装の方へ向いて歩き出そうとしたその時。
フラッ
…え?
どんどん視界がかたむいて、目の前がまっくらになった。
遠くで
「桜井っ!!」
って私の名前を呼ぶ長谷部くんの声が聞こえた気がした。