王子様と正しい恋愛

「消え…」

「いい加減にしろよ」

先輩…?

いつもに増して低い声を出して、私の前に背を向けて春子さんに言った。

「小日向は俺の玩具なの。勝手に傷物にしないでくれる?」

人のこと玩具玩具って…

でもなんだか頼もしい先輩の後ろ姿に怒りを打ち消された。

やっぱ王子様だ、この人。

でもほっぺた痛い…

「諒くんの馬鹿っっ!行くわよ!」

「春子ちゃん?!」

「待って〜!」

「…………」

バタバタと足音を立てて走り去る王子ファン達。

のこされた私(と天童先輩)はその光景を眺めていた。

「小日向…」

「なんすか?」

「大丈夫か?」

「へ…」
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