ある雪の降る日私は運命の恋をする
「楓摩、大丈夫か?」

「うん……。そういえばさ…朱鳥にね、結果伝えようと思ったらさ『私、白血病なんでしょ?』って、笑ってたんだ……すっごく悲しそうな顔してた…………俺、それみてて、すっごく辛くて、泣きそうになった……俺…こんなんで朱鳥の事ちゃんと守れるのかな……?守りきれる自信がないんだ……。俺…」

「……朱鳥ちゃんには、お前しかいないんじゃないか?」

「えっ……」

思いもしなかった返答に驚く。

「朱鳥ちゃんには、楓摩しかいないって言ってるんだよ。もし、楓摩がいなくなったらどうする?朱鳥ちゃん、また一人になっちゃうんじゃないのか?」

「……」

「だからさ、『守れるのか』なんかじゃなくて『守る』んだよ。お前のやるべき事はそれだけ。絶対に朱鳥ちゃんを守る。わかった?」

「うん、ありがと…。俺、守る。絶対に朱鳥を守ってみせる!」

「おう!その息だ!んじゃ、朱鳥ちゃん、病室に運ぶか」

「うん、そうだね。朱鳥ーちょっと移動するからねー……」

眠っている朱鳥をストレッチャーに乗せて病室まで運ぶ。

病室に着いて、朱鳥をベッドに移してから、モニターを付けた。

ピッピッピッ……

規則的な機械音と

シュー…シュー…

という、人工呼吸器の音が静かな病室に響く。

「朱鳥ちゃん、今度はいつ目 覚ますかな……?」

「……いつだろうね…。3日かそれ以上……かな…」

朱鳥は1度気を失うと、しばらく眠り続けている事が少なくない。

「早く、目 覚まして俺に笑顔見せてね……朱鳥…………。俺、朱鳥の笑顔が大好きだからさ…」

眠っている朱鳥の髪を撫でる。

相変わらず綺麗な顔してんな……

もともと、白くて華奢な肌が病気のせいか、もっと青白く痩せ細って見える。

「楓摩、お疲れ様。今日は、俺が外来変わるから、お前は朱鳥ちゃんに着いていてあげな。その方が、朱鳥ちゃんも楓摩も良いだろ?」

「うん、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えてそうさせて貰おうかな」

正直、このまま患者さんの対応をするのはキツイ。

多分、朱鳥の事が気になって集中できないと思うから。

それなら、1度気持ちを整理して、今度は陽向が外来の時に変わろう。

それが、今の俺に一番だと思った。

「おう、じゃ、俺は行くな。ちゃーんと守ってあげるんだぞー」

「わかってるよ(笑)じゃあ、お願いするね」

「おう!」

そういうと、陽向は病室を出ていった。
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