ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side

朱鳥が目を覚ました。

外見は普通を装ってたけど、内心とても嬉しかった。

さすがに、5日間も眠っていたから本当にこのまま眠り続けるんじゃないか…と心配した。

目覚めてすぐに、甘えてくれた事は言うまでもなく嬉しかった。

5日間眠っていたから、筋力が落ちちゃってるんじゃないか…と思ったのは正解だった。

やっぱり、立つこともままならないくらいに筋力も落ち、悠陽を呼んできて少しストレッチしただけでも、かなり疲れた様子で体力も落ちてきているようだった。

朱鳥の頑張りは、本当にすごかった。

毎日、毎日、ひたすら練習に練習を重ね、1週間でまた、走れるまでに上達した。

朱鳥は、とても嬉しそうだった。

でも、その笑顔もつかのま。

治療を始める日が刻一刻と近付いていた。

「よぉ、楓摩。最近朱鳥ちゃんどうだ?」

「おっ、陽向か。朱鳥最近凄くてさ。かなり筋力落ちてたのに、もう昨日には走れるようになってたよ。」

「おぉ!すげぇじゃん!でも、ってことは……治療…始めるのか?」

「うん……。それで今、相談しようと思ってた所。」

「そっか……」

やっぱり、陽向も朱鳥の辛い姿を見るのは辛そうだ……

俺も当然嫌だ。

今まで、仕事柄何回も白血病の治療をしている患者さんをみているから、その辛さはわかる。

辛さのあまり、”殺して”と言われた事もある。

俺たちは無力だ。

そう、何回も考えさせられた。

「それで、いつから始めるんだ?」

「うん……。4日後…いや、3日後から始めるよ……。」

「わかった……」

朱鳥の病状は日に日に悪くなっていく。

だから、本当は今すぐにでも始めなきゃいけない…

だけど、患者の朱鳥も治療を行う俺たちにも心の準備をしないといけない。

それを今日、朱鳥に伝えに行く。
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