ある雪の降る日私は運命の恋をする
コンコンッ

「朱鳥ー、入るよー」

「はーい」

ガラッ

「やっほ、朱鳥。調子どう?」

「めーっちゃ元気だよっ!」

「そっか、それはよかった…じゃあ、簡単な診察するから少し服捲って」

「りょーかい」

朱鳥は、とても嬉しそうな笑顔を浮かべている。

でも、その間に病は少しずつ朱鳥の体を侵食していく……

「うん。大丈夫そうだね。喘息もないし、体力も戻って来たみたいだね」

「うん!よかったぁ!」

「……じゃあ、その調子で白血病の治療も頑張れる?」

「えっ……」

一気に朱鳥から笑顔が消える。

胸が痛い……

「体力が戻るまで、治療は先延ばしにしてたけど、これ以上は待てないかな…。待ってるうちに病気は朱鳥をどんどん蝕んでいく。だから、3日後から治療頑張れる?」

俺も一生懸命笑顔を保つ。

俺が悲しそうな顔してたら、朱鳥まで落ち込んでしまう。

だから、笑顔。

無理やり笑顔を作るけど、多分引きつってるだろうな…

「治療って、抗がん剤…なの……?」

「うん。そうだよ。抗がん剤治療をまずは、1週間行うよ。その後に、また、休憩の期間を挟めてまた1週間。その繰り返しかな……」

「そっか……。でも、いつかはやらないといけないんだもんね。だったら、早く始めた方がいいよね…。うん、私頑張れる。頑張るよ。」

朱鳥……

「朱鳥、頑張ろ。俺も出来るだけ着いてるから。2人で一緒に頑張ろうな!」

「うん。楓摩、ありがと…」

そういって、朱鳥をだきしめた。

朱鳥は、強く決意したような顔をしていたが、少し震えて涙目になっていた。

「大丈夫。大丈夫だからね。俺が傍にいるから……」
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