ある雪の降る日私は運命の恋をする

朱鳥side3

「じゃあ、そろそろ帰るか。」

「うん、そうだね…」

そういって、駐車場へ向かい、車へ乗り込む。

今日は、本当に楽しかった。

けど、その分その楽しさが終わってしまう悲しみも大きい。

”帰る”っていったら、普通の人だったら、自分の家に帰るよね。

でも、私は違う。

帰る先は病院。

今日が終われば、いよいよ明日から治療が始まってしまう。

テレビとかで見たことがある、あの辛そうな治療。

嫌だな…怖いな……

さっきまでの幸せな気持ちとは裏腹にそんな不安ばかりが積もる。

「朱鳥、今日は楽しかったね!」

「うん」

「朱鳥、不安でしょ?」

「えっ」

「顔に出てる。治療は不安だし、怖いかもしれないけど一緒に頑張ろ?俺も出来るだけ着いてるからさ。大丈夫。きっと、朱鳥なら大丈夫。」

楓摩は、私の不安を汲み取ったのか、私を励ますような言葉をかけてくれた。

ごめんね、楓摩。

迷惑だよね……せっかく、楽しい気分だったのに、私のせいで台無し。

本当にごめんね。
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