ある雪の降る日私は運命の恋をする

朱鳥side

うっ…………気持ち悪い……

気持ち悪さで目が覚めるなんて最悪……

今…何時だろう……

体を起こそうとすると、フラッと目眩がした。

目の前の世界がグルグルと回る。

視界もボヤけていてよくわからない。

体も熱くて…頭も痛い……

熱?

必死にナースコールを探していたら、ナースコールを床に落としてしまった。

これじゃあ、呼べないじゃん…

壁を探して、壁伝いにベッドから降りる。

でも、上手く立てなくて、倒れてしまう。

楓摩…助けて……

床が冷たい。

体は熱いのに、寒くて、変な感じ。

立ち上がりたいけど、上手く体に力が入らない。

目の前の世界がよりいっそうグルグルと回る。

ガラッ

「朱鳥ー、夜の回診だよー。って、朱鳥!!大丈夫!?朱鳥、わかる?俺だよー」

「……ふ…………ま…」

「朱鳥、ちょっと抱っこするよー。」

楓摩に抱き上げられて、ベッドに寝かされる。

「朱鳥、大丈夫?ちょっと、お熱計ろっか。熱、上がってきちゃったかもね…」

体温計を挟まれ、熱を計られる。

ピピピッ♪

「うわっ、よく我慢できたね。って、ナースコール落としちゃったのか…ごめんね。もっと、早く気づいてあげられたら良かったのに……」

楓摩の持ってる体温計には、40.9の文字。

「体も冷たくなっちゃってるし、ちょっと待ってね。」

すると、楓摩はナースコールで何かを言っている。

意識もボンヤリとしてきて、何を言っているのかわからない。

しばらくすると、病室に看護師さんが入ってきて、楓摩に何かを渡した。

「朱鳥ー、寒いでしょ?だから、ちょっと毛布かけるよ。これで暖かくなるからね。それと、解熱剤の点滴するから、ちょっとチクッとするよー。」

楓摩に手を取られ、針を刺される。

「…ぃ……たぃ…………」

「ごめんね、朱鳥。これで、もうすぐ楽になれるからね。」

ずっと回転するイスに乗せられて回されているような感じ。

吐きそ……

「……吐く…………」

「大丈夫?ここに出していいよ。辛いね……気持ち悪いよね………」

楓摩は、桶を持って、もう片方の手で私の背中をずっとさすってくれている。

「オェェ……ヒック…………ハァッ…ハァッ」

もう、嫌だよ……

目から涙が零れるのがわかる。

「朱鳥ー、頑張れ。大丈夫だからね、もうすぐ効いてくるから。」

楓摩がずっと手を握っていてくれる。

「…ふぅ……ま…………」

「どうした?」

「……も…いゃ…………ゃだ……ハァッ…ハァッ……オェェ…………」

「朱鳥、ごめんね。俺、声掛けてあげることしかできない。ごめんね。でも、頑張れ。大丈夫、俺が着いてるから。」

楓摩は、私の手をさっきよりも強く握ってくれる。

薬が効いてきたのか、少しだけさっきよりもマシになってくる。

でも、それと同時に眠気も襲ってきて私は、そのまま眠ってしまった。
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