ある雪の降る日私は運命の恋をする
楓摩side
今日は、俺が執刀する手術があった。
朝の10:30から17:00までかかる大手術だ。
俺も緊張してた。
だけど、なんとか終わり医局に、戻ると陽向がやってきた。
「楓摩、手術お疲れ様。6時間以上もかかって大変だったな。」
「おう、緊張したよ。もう、なんかヘトヘトだな。そうだ、朱鳥大丈夫だった?」
「あぁ、そういえば、お前が執刀してる間に朱鳥ちゃんからナースコールがあったよ。」
「まじか…、また吐き気とか?」
「うん、すっごい吐いてた。だいぶキツそうだったから、薬使って、寝かせる事にしたよ。」
「そっか…、ありがと。ちょっと俺、朱鳥の所行ってくる。」
朱鳥の、副作用は結構キツイみたいだな。
昨日も吐いていたし、辛そうだ。
今日の仕事は、手術だけで終わりだから、今日はこのまま朱鳥に付き添っていたい。
早く会いたい気持ちから、無意識に足が早く進む。
本当なら、会って今すぐにでも抱きしめたいが、何しろ、免疫力が落ちていて無菌室にいるから、それはできない。
ガラッ
小走りで朱鳥の元へ向かう。
「朱鳥…早く来れなくてごめんね……」
朱鳥は、辛そうな顔のまま、眠っている。
「……ぅ…楓摩…………助けて………」
「朱鳥、俺はここにいるからね。もう、大丈夫だよ。」
寝言…
朱鳥は、夢の中でもうなされているみたいだ。
せめて、寝ている間くらい楽になって欲しい……
そう思い、朱鳥の手を握る。
「……んー!嫌ぁ………やめて…もぅ……やぁ…!!」
朱鳥は、涙を流して、イルカの抱き枕をギュッと強く抱きしめて眠っている。
見ているだけで、心苦しくなる。
指先で朱鳥の涙を拭い、頭を撫でる。
「早く、治して、楽になろうな。楽しい事いっぱいしような。一緒に幸せになろうな……」
手を強く握る。
朱鳥は、どんな夢を見ているのだろう。
きっと、昔の事を思い出しているのだろう。
「嫌ぁ!……ごめんなさぃ…ごめんなさぃ………ごめん…なさぃ……ハァッ…ハァッ………ゲホッ…ゴホッ…ハァッ…ハァッ……」
「朱鳥っ、大丈夫?朱鳥っ!」
喘息が出てきた。
朱鳥は、極度の緊張や、パニックに陥った時に喘息が出ることが多い。
このままだと、危ないので朱鳥を起こす。
「朱鳥!朱鳥ー、起きて。」
「ハァッ…ハァッ……ふ…ぅま?……ゴホッゲホッ…………」
「朱鳥、おはよ。今、苦しいしょ?喘息出ちゃってるから、1回起きて。吸入しよ?」
急いで小型吸入器を取り出し、朱鳥に渡す。
「朱鳥、吸える?ゆっくりでいいから、少しずつ吸ってごらん?」
コクン
しばらくすると、大丈夫落ち着いてきたようだ。
「朱鳥、大丈夫?だいぶ、うなされてたみたいだけど」
「……楓摩…怖かったぁ………グスン…ヒック……また、殴られた…蹴られた……でも誰も助けてくれなくて…………グスン…」
昔の嫌な思い出を、思い出しちゃったみたい。
「ごめんね、もっと早く来れればよかったね。」
朱鳥の手を握ると、さっきよりも少し熱い気がした。
朱鳥の顔もほんのり赤い。
「朱鳥、お熱計ろ?また、熱上がっちゃったかもね…」
朱鳥に体温計を挟み、熱を計ると
ピピピッ♪
39.1
熱が上がったり下がったりの繰り返しだな。
これだけ熱が高いなら解熱剤かな……
「朱鳥、このままだと辛いから解熱剤入れよっか。」
「…嫌…………」
「でも、入れないとキツイままだよ?いいの?」
「嫌……」
「じゃあ、頑張ろ?」
「やぁ……嫌なのぉ…」
熱のせいか少しグズっている朱鳥。
「ごめんね朱鳥。やっぱり、このままだと危ないから解熱剤入れるね。」
ナースコールで解熱剤の注射と吐いたせいで栄養が採れていないと思うので栄養剤の点滴を頼む。
朱鳥の腕には、見ていて痛々しいほどの点滴のアザができていた。
少しすると、看護師さんが点滴と注射を持って来てくれた。
「朱鳥ー、解熱剤の注射するよ。ちょっと痛いからね。」
「やぁ……」
朱鳥は、抵抗しようとしているが、熱のせいで上手く力が入っていないのですぐに抑えられる。
「ごめんねー…」
朱鳥の細くて白い腕に針を刺す。
「んーん……ぃたぃ…………」
「ごめんね。もう少しだから頑張ってね。」
注射は、普通の点滴とは違って時間がかかるからその分痛いはず。
朱鳥にとっても、辛いはずだ。
そのまま、逆の腕に点滴を刺す。
朱鳥は唇を噛んで、涙を流しながら痛みに耐えている。
「はい、終わり。これで、痛い事はないからね。」
朱鳥の頭を撫でる。
「グスン…ヒック……やだって言ったぁ…………」
「ごめんね……」
俺は、もう、これしか言えなかった。
俺は朱鳥の手を握った。
すると、朱鳥はパシッっと俺の手を振りほどいた。
痛い事ばっかりして、俺、嫌われちゃったかな…
朱鳥の意思も無視して嫌な事してるんだから、当然だよな。
朱鳥は、俺に背を向けて布団を頭までスッポリ被ったまま眠ってしまった。
俺は、どうしていいのか、わからなく、そのまま次の日まで朱鳥の傍にずっと座っていた。
朝の10:30から17:00までかかる大手術だ。
俺も緊張してた。
だけど、なんとか終わり医局に、戻ると陽向がやってきた。
「楓摩、手術お疲れ様。6時間以上もかかって大変だったな。」
「おう、緊張したよ。もう、なんかヘトヘトだな。そうだ、朱鳥大丈夫だった?」
「あぁ、そういえば、お前が執刀してる間に朱鳥ちゃんからナースコールがあったよ。」
「まじか…、また吐き気とか?」
「うん、すっごい吐いてた。だいぶキツそうだったから、薬使って、寝かせる事にしたよ。」
「そっか…、ありがと。ちょっと俺、朱鳥の所行ってくる。」
朱鳥の、副作用は結構キツイみたいだな。
昨日も吐いていたし、辛そうだ。
今日の仕事は、手術だけで終わりだから、今日はこのまま朱鳥に付き添っていたい。
早く会いたい気持ちから、無意識に足が早く進む。
本当なら、会って今すぐにでも抱きしめたいが、何しろ、免疫力が落ちていて無菌室にいるから、それはできない。
ガラッ
小走りで朱鳥の元へ向かう。
「朱鳥…早く来れなくてごめんね……」
朱鳥は、辛そうな顔のまま、眠っている。
「……ぅ…楓摩…………助けて………」
「朱鳥、俺はここにいるからね。もう、大丈夫だよ。」
寝言…
朱鳥は、夢の中でもうなされているみたいだ。
せめて、寝ている間くらい楽になって欲しい……
そう思い、朱鳥の手を握る。
「……んー!嫌ぁ………やめて…もぅ……やぁ…!!」
朱鳥は、涙を流して、イルカの抱き枕をギュッと強く抱きしめて眠っている。
見ているだけで、心苦しくなる。
指先で朱鳥の涙を拭い、頭を撫でる。
「早く、治して、楽になろうな。楽しい事いっぱいしような。一緒に幸せになろうな……」
手を強く握る。
朱鳥は、どんな夢を見ているのだろう。
きっと、昔の事を思い出しているのだろう。
「嫌ぁ!……ごめんなさぃ…ごめんなさぃ………ごめん…なさぃ……ハァッ…ハァッ………ゲホッ…ゴホッ…ハァッ…ハァッ……」
「朱鳥っ、大丈夫?朱鳥っ!」
喘息が出てきた。
朱鳥は、極度の緊張や、パニックに陥った時に喘息が出ることが多い。
このままだと、危ないので朱鳥を起こす。
「朱鳥!朱鳥ー、起きて。」
「ハァッ…ハァッ……ふ…ぅま?……ゴホッゲホッ…………」
「朱鳥、おはよ。今、苦しいしょ?喘息出ちゃってるから、1回起きて。吸入しよ?」
急いで小型吸入器を取り出し、朱鳥に渡す。
「朱鳥、吸える?ゆっくりでいいから、少しずつ吸ってごらん?」
コクン
しばらくすると、大丈夫落ち着いてきたようだ。
「朱鳥、大丈夫?だいぶ、うなされてたみたいだけど」
「……楓摩…怖かったぁ………グスン…ヒック……また、殴られた…蹴られた……でも誰も助けてくれなくて…………グスン…」
昔の嫌な思い出を、思い出しちゃったみたい。
「ごめんね、もっと早く来れればよかったね。」
朱鳥の手を握ると、さっきよりも少し熱い気がした。
朱鳥の顔もほんのり赤い。
「朱鳥、お熱計ろ?また、熱上がっちゃったかもね…」
朱鳥に体温計を挟み、熱を計ると
ピピピッ♪
39.1
熱が上がったり下がったりの繰り返しだな。
これだけ熱が高いなら解熱剤かな……
「朱鳥、このままだと辛いから解熱剤入れよっか。」
「…嫌…………」
「でも、入れないとキツイままだよ?いいの?」
「嫌……」
「じゃあ、頑張ろ?」
「やぁ……嫌なのぉ…」
熱のせいか少しグズっている朱鳥。
「ごめんね朱鳥。やっぱり、このままだと危ないから解熱剤入れるね。」
ナースコールで解熱剤の注射と吐いたせいで栄養が採れていないと思うので栄養剤の点滴を頼む。
朱鳥の腕には、見ていて痛々しいほどの点滴のアザができていた。
少しすると、看護師さんが点滴と注射を持って来てくれた。
「朱鳥ー、解熱剤の注射するよ。ちょっと痛いからね。」
「やぁ……」
朱鳥は、抵抗しようとしているが、熱のせいで上手く力が入っていないのですぐに抑えられる。
「ごめんねー…」
朱鳥の細くて白い腕に針を刺す。
「んーん……ぃたぃ…………」
「ごめんね。もう少しだから頑張ってね。」
注射は、普通の点滴とは違って時間がかかるからその分痛いはず。
朱鳥にとっても、辛いはずだ。
そのまま、逆の腕に点滴を刺す。
朱鳥は唇を噛んで、涙を流しながら痛みに耐えている。
「はい、終わり。これで、痛い事はないからね。」
朱鳥の頭を撫でる。
「グスン…ヒック……やだって言ったぁ…………」
「ごめんね……」
俺は、もう、これしか言えなかった。
俺は朱鳥の手を握った。
すると、朱鳥はパシッっと俺の手を振りほどいた。
痛い事ばっかりして、俺、嫌われちゃったかな…
朱鳥の意思も無視して嫌な事してるんだから、当然だよな。
朱鳥は、俺に背を向けて布団を頭までスッポリ被ったまま眠ってしまった。
俺は、どうしていいのか、わからなく、そのまま次の日まで朱鳥の傍にずっと座っていた。