ある雪の降る日私は運命の恋をする
夜中、朱鳥はまたうなされていた。

早く、この辛さから解放してあげたいな……

朱鳥は、寝返りを打っているうちに、俺の方を向いた。

とても、苦しそうに眉をひそめている。

汗もかいていて、顔も真っ赤だ。

解熱剤効いてないかな…

もう一度熱を計る。

ピピピッ♪

40.6

全然効いてないな。

むしろ、悪化してる。

ナースコールで看護師さんに冷えピタと保冷剤を頼み持ってきてもらう。

しばらくして、入ってきたのは看護師さんではなく、陽向だった。

「あれ?陽向じゃん、どうしたの?」

「いや、ちょっと気になったから看護師さんに変わってもらった。朱鳥ちゃん、だいぶ辛そうだな…、大丈夫か?」

「熱が高いみたいで40.6度もあった。夢でもうなされてるみたいだし、見てて辛いよ……。変わってやれるなら変わってやりたいのにな……」

そっと、朱鳥の頬を撫でる。

普段は白くてキメ細かい肌。

それが今日は、ほんのり赤くて汗でしめっている。

陽向に持ってきてもらった冷えピタと保冷剤を受け取り、朱鳥の額に貼ってから、脇の下や首元に保冷剤を当ててあげる。

すると、少し涼しくなったのか、顔の表情が緩み汗も引いてきた。

「少しは、マシになったかな……。朱鳥、昨日から熱が上がったり下がったりして、それに、熱が下がってる時も吐き気が凄いみたいでさ………本当に辛そうでさ。」

「朱鳥ちゃん、この前まで、すっごい元気だし、明るかったから、その分辛さが伝わってくるな……。本当なら、学校生活とか楽しみたい時期なのにね。これが、あと5日続くと思うと、大変だね…。」

「そうだな……」

俺は朱鳥の手を強く握り、早く治る事をただ祈るばかりだった。

「じゃあ、俺は行くな。楓摩も、もうそろそろ体休めないと、お前も体壊すぞ。」

「うん、ありがと。でも、今日はここに居たいんだ。」

「そっか…。なら、ほどほどにしとけよ。」

「うん。」

陽向は、そっと病室から出ていった。
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