ある雪の降る日私は運命の恋をする
「……ぅま、楓摩!!」

あれ?俺いつの間に寝てたんだ……?

ペチペチとほっぺを叩かれて目が覚める。

眠たい目を擦り、顔をあげると、そこにあったのは心配そうな朱鳥の顔。

俺、昨日そのままここで寝ちゃったのか…

「あれ、朱鳥…?おはよ。」

「おはよ、楓摩。てか、仕事はいいの?」

「んー?仕事?今日は午後からだから大丈夫。」

今日は、昨日、大きな手術があったから、医局長が気を利かせて午後からの仕事にしてくれた。

「そういえば、朱鳥、怒ってないの?」

「え?なんで?」

「え、だって、昨日怒ってたじゃん…。もしかして、覚えてない?」

「……うん…」

「まじか。じゃあ、昨日朱鳥が高熱出したのも覚えてない?」

「うん……夜中に、楓摩と陽向先生がいた事はうっすらと覚えてるけど、それ以外は覚えてない。」

昨日は、熱が高かったから意識が朦朧としてたんだな。

やっぱり、抗がん剤使うと、副作用で大変だな。

「じゃあ、昨日熱高かったから、また熱計ってみて。」

ピピピッ♪

37.4

「微熱だなー。もしかしたら、昨日みたいに、また熱上がったり下がったりするかもしれないから、少し辛いかもな。」

「嫌だなぁ……あれ、ずっと酔ってるみたいな感じで気持ち悪いんだもん…ずっと怠いし…………」

「そうだな……。まぁ、また、辛かった言ってね。俺たちも最善を尽くすからさ。」

「うん。」

「そういえば朱鳥、最近ずっと寝てばっかりだからトイレしてないんじゃない?大丈夫?便秘とかになってない?」

「え……」

図星かな?

抗がん剤の副作用に、便秘や下痢気味になる事もあるから、きっとそれかな?

「朱鳥、俺一旦病室から出てるから、トイレしてみて?出なかったら、もう一回呼んで?」

「わかった。」

無菌室は、病室内にトイレがついているから、俺は一回出ないといけない。

やっぱり、便秘だったらあれかな……?

でも、朱鳥嫌がるだろうな。

きっと、俺だったら、恥ずかしがるから看護師さんを呼ぶことにした。
< 137 / 505 >

この作品をシェア

pagetop