ある雪の降る日私は運命の恋をする
闘いの始まり
「え………………」
いきなり告げられたその事実に、私は戸惑いを隠せなかった。
「……よく、聞いてほしいんだ。これから、詳しく説明してもいいかな?」
楓摩先生は、何故か悲しそうな笑顔を向けてきた。
「わ、私はっ…………!!………………どぅ…なっちゃうの……?」
「……うん。今から説明するね。」
楓摩先生は、今にも泣き出しそうな私の頭を撫でてから隣に座った。
「…………ねぇ、朱鳥ちゃん……今日は話すの…やめよっか?いきなりだったから辛いと思うし、まだ、頭の整理もつかないでしょ?」
先生は心配そうに聞いてくれたが、それでも私は聞きたかった。
自分の身に何が起きていて、何が必要なのか……
聞くのは怖かったけど、それでも知りたかった。
「いい……聞く…教えて……」
「うん。わかった。説明するよ……」
そういうと、さっきの心配そうな顔から急に真剣な医者の顔になった。
「朱鳥ちゃん。いい?
君の血液を調べたらね、白血球の数が普通よりも多かったんだ。 普通よりも多いだけなら、ストレスの可能性もあるんだけどね………赤血球と血小板の減少もあったから、白血病の可能性があるんだ。」
「そ、そっか……」
「でもね、まだ白血病って決まった訳じゃなくてさ。この続き説明してもいい?」
「……うん。」
「じゃあ続きを説明するね。白血病を確定させるためには、骨髄検査っていう検査が必要なんだ。それで、朱鳥ちゃんが白血病かどうかを最終的に判断する。だから、その為に明日、骨髄検査を受けてくれないかな?」
「その……検査って…………どんなの?」
先生は少し言い難いような顔をしてから口を開いた。
「骨髄検査はね、丁度ここら辺背中の辺りにある骨髄って場所から髄液を抜く検査なんだ。」
先生はトントンと自分の背中を指さしながら、ゆっくり教えてくれた。
「それから……、骨髄検査は少し…いや、かなり痛い検査なんだ。一応、麻酔はするんだけどね…それでも、痛いって患者さんは言ってた。……ゴメンね」
先生は申し訳なさそうな顔をして、私に細かく説明した。
「……そっか、ありがと。…………また、病気かぁ…嫌になっちゃうな…………。こんな体…。なんで?なんで私なの……!?なんで私ばっかり……。」
「朱鳥ちゃん…………。でもっ、まだ決まった訳じゃないからさ!ほら、ねっ?落ち着いて?」
「うっさい!こんなの決まったも同然じゃん!?なんで?なんで私ばっかり辛い想いしなくちゃならない訳!?両親には捨てられるし、預けられた親戚には毎日暴力を振られるし!!だから家出してやって、やっと1人で暮せると思ったのに…いつの間にかこんな事になってるし……!!…………っ!!なんで……なんでよぉ…………」
大声で怒鳴り散らした挙句、私はポロポロと涙を流して泣いてしまった。