ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side2

朱鳥と喧嘩をしてしまった。

その時、俺は朱鳥が言う事を聞いてくれなくて、なぜか、イライラしてしまっていた。

朱鳥に、大泣きされてから、自分が何をしたかわかった。

俺は最低だ。

朱鳥の気持ちを、意思を無視して、全て己の感情のままに進めてしまっていた。

なんて、バカなんだろう。

あの時、朱鳥はどんな気持ちだったかな……

きっと、ここ数日の治療が大変すぎて、疲れていたんだろう。

点滴をしたくない理由もきっとあったはず。

前までは、我慢してくれていたから、痛みとかそういう問題じゃなかったんだよね……

気づいた時には、もう遅かった。

必死に謝ったつもりだったけど、朱鳥に拒否されちゃったよ………

俺、本当に最低だ。

泣きたいのは朱鳥の方なのに、なんで俺が泣きそうになっているんだろう。

俺が今、泣いている暇があったら、朱鳥の所に行って、何度でも謝る方が正解なのだろう。

だけど、俺はそうしなかった。

朱鳥に嫌われるのが怖かった。

何回も謝って、朱鳥にしつこい人だと思われるのが怖かった。

別れようって言われるのが怖かった。












なんで、あの時、もっと早く、朱鳥の所に行かなかったのだろう……

俺は、あの時、まだこんな大変な事になるなんて思ってもみなかった。




< 142 / 505 >

この作品をシェア

pagetop