ある雪の降る日私は運命の恋をする
重い瞼を開ける。

「…………朱鳥…」

すると、そこには、涙を流しながら寝言を言い、眠っている楓摩がいた。

手はしっかりと繋がれている。

声を出そうとするが、声が出ない。

仕方がないから、手を握り返す。

全然、手に力が入らない。

震える腕で、頑張って手を伸ばす。

そして、楓摩の頬に触れる。

「…………ん?………陽向?」

楓摩、寝ぼけてる?

「どうしたんだ…………って、朱鳥!?朱鳥っ!目が覚めたんだね!朱鳥!心配したんだよっ!おはよう。本当に良かった……朱鳥…朱鳥…………。」

そういうと、楓摩は、ボロボロと涙を流しながら抱きついてきた。

そうだ、この声。

夢の中で、ずっと私を呼んでくれてたのは楓摩だったんだね。

「朱鳥っ!朱鳥っ……ごめん!ごめんね!俺、どうかしてたよ…朱鳥は、一生懸命頑張ってたのに、俺……朱鳥の気持ちを無視してた。本当にごめんっ!ごめんな………」

楓摩、そんなに泣かないでよ。

私は、大丈夫だから。

謝ってくれるなら、いいんだよ。

依然として声は出ない。

だから、その代わりに、楓摩の涙を拭い、ニコッと笑いかけた。

「朱鳥…?」

楓摩は、涙で真っ赤に腫らした目で見つめてくる。

「……な……か…………なぃ…………で…」

頑張って、かすれた声を絞り出す。

「朱鳥…………」

「……も…………だぃ……じょ………だ…か……………ら……」

「でもっ、俺!!朱鳥に酷いことっ…」

私は、手で楓摩の口を塞ぎ、ウウンと首を振る。

「…………ぃぃ……の………」

「朱鳥……、いい…のか?」

コクン

私は、頷いて微笑んだ。

「ありがとう…………これからは、絶対に俺が守るからね……!!」

すると、楓摩も微笑んで抱きついてくれた。
< 146 / 505 >

この作品をシェア

pagetop