ある雪の降る日私は運命の恋をする
はぁ……

体が怠い…………

出されたご飯は、半分くらい食べて残してしまった。

薬は、飲んだけど、それ以外水分も採ってない。

ダメだな……

きちんと食べて、飲まないといけないのはわかってるけどね……

少し起き上がって、陽向が買ってきてくれたペットボトルのお茶に口をつける。

1口、2口飲んでみる。

お茶は、冷たくて気持ちいいのだけど、お腹に入った時に気持ち悪さが込み上げてくる。

たまらなくなって、桶に吐き出してしまう。

「ウッ……オエ…………ゴホッ…オエェ……」

吐き出したら、吐き気が止まらなくなる。

しばらく吐き続け、朝ご飯もさっき飲んだばかりのお茶も、全部吐き出してしまった。

「楓摩ー、大丈夫?」

シャッとカーテンが開き、朱鳥が顔を覗かせた。

朱鳥は、もう、すっかり元気そうだ。

声も、少し小さめではあるが、ちゃんと出てる。

「ゴホッ……朱鳥、俺は…大丈夫だよ。ゲホッ……でも、移ると悪いから…あんまり……近付かないでおいて…ゴホッ……ごめんね……ゲホッ」

「陽向先生、呼ぼうか?」

コクン

俺は、頷いた。

少し、収まってきたものの、まだ吐き気は続く。

「はぁ…はぁ……オエッ…ゲホッゴホッ………オエエ…………」

気持ち悪い。

でも朱鳥は、これ以上に辛かったんだよね……

なら、俺も頑張んなきゃ。

頭がガンガンする。

喉は胃酸のせいで痛いし、口の中は酸っぱい感じがする。

「楓摩、大丈夫か?朱鳥ちゃんから連絡もらって来たけど、結構、吐いたみたいだな。水分、採れないみたいだから、点滴するな。」

コクン

「ごめんな……何回も呼んじゃって…………」

「いいって、このくらい。いつも、助けてもらってるお礼だよ。」

陽向は本当に良い奴だな。

普通なら、何回も呼ばれたらめんどくさくて、嫌になるのに、嫌な顔一つしないで、笑顔で対応してくれる。

だから、人気でるんだな。

「痛っ……」

「あ、ごめん!失敗した!!もう1回いい?」

「うん……」

陽向でも、失敗するんだな……

「お前、血管細いな~」

「そうか?」

「うん、やりにくい(笑)」

そんなに俺、血管細いんだ……

確かに、血管の細い人は、点滴や採血がしにくい。

だから、失敗する事もあるんだよな。

「陽向ー、怠い……気持ち悪い…………無理」

「そうだな、熱が下がれば、少しは楽になると思うから、あとは、薬が効いてくれるのを待つことだな。いつも、元気なお前だから、尚更辛いだろ?まあ、明日くらいには熱も下がってくれるだろうから、それまでの辛抱だな。頑張れ。」

「ん……」

「じゃ、ゆっくり休めよ。」

陽向には、本当に感謝しなきゃな。

そう思いながら、俺は目を瞑った。
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