ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side3

頭が重い……

朱鳥や陽向が看病してくれたおかげで、少し熱が下がり、だいぶ楽になった。

でも、まだ完全に元気になった訳ではない。

ふと、手を握られていることに気付く。

「……あーすーか」

そっと、手を伸ばして朱鳥の頭を撫でる。

「…………んーん、まだ寝てるのぉ……」

そう言って寝言を言う朱鳥。

可愛いな。

それだけでも、俺はかなり癒された。

コンコンッ

ガラッ

「楓摩ー、起きたかー?体調はどうだ?」

「陽向、おはよ。お陰様で、だいぶ楽になったよ。ありがと。」

「ん、なら、よかった。てか、朱鳥ちゃん、どうしたの?爆睡しちゃってるけど(笑)」

「なんか、俺の看病してるうちに寝ちゃったみたい。風邪ひいちゃったら悪いから、ベッドに移してあげて。」

「そうだな。」

そういうと、陽向は、ヒョイっと朱鳥を持ち上げた。

「よし、これでおっけー。じゃ、楓摩診察するから、服捲れ。」

「ん。」

大人しく、服を捲る。

陽向に診察される事なんてないから、不思議な気分だ。

陽向も、こんな、真面目な顔するんだな。

「ん、いいよ。まだ、熱はあるみたいだけど、もう解熱剤はいらないかな。あとは、ちゃんと栄養採って、安静にしろよ。」

「うん、ありがと。」

「お前は、バカだから、いっつも力尽きるまで仕事するもんな。まあ、たまには、こういう休養も必要だな。早く元気になって、患者さん達の事、治してやれよ。」

そういって、陽向は、俺の事を励ましてくれた。

それから、陽向としばらく、話してから、俺はまた、寝ることにした。

最近は、忙しくて、陽向と話す暇さえ無かったから、こういうのも、たまにはいいかな。

そう思える日だった。
< 156 / 505 >

この作品をシェア

pagetop