ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side5

夜中、朱鳥がうなされる声で目が覚めた。

「…………ゃぁ!!…やめて………………っ!!…………ふぅ…ま……助けて…!!」

見ると、朱鳥は涙を流しながら、必死に助けを求めていた。

「朱鳥、大丈夫?朱鳥?おーい」

このままだと、朱鳥も辛いと思ったので、朱鳥を起こす事にした。

「……うっ…グスッ…………ふぅま?」

「朱鳥、大丈夫?また、怖い夢見ちゃった?」

コクン

頷いた朱鳥は、キュッと唇を噛んで、微かに震えていた。

「朱鳥、大丈夫。もう、俺がいるから大丈夫だよ。もう、我慢しなくていいよ。泣いてもいいから。」

そう言って、手を広げると、朱鳥は、俺の胸に顔を埋めて泣き出した。

「……怖かったよぉ…グスッ……痛かったぁ………死んじゃうかと思った……もう…やだよぉ…………」

朱鳥は、痛々しいほどの涙を流し、大泣きしていた。

俺が抱きしめた後も、ずっと震えていた。

やっぱり、トラウマは消えないのかな……

眠る度にこんな感じなら、朱鳥も辛いし、このままだと、朱鳥の精神がもたないよ。

「朱鳥、1回俺に全部話してみない?今日じゃなくてもいいからさ。ゆっくり、落ち着いた時に話してくれない?」

朱鳥は、俺の目を見つめた。

恐怖に怯えて、涙をいっぱい貯めた目。

その目は助けを求めているようだった。

「話して、くれる?」

朱鳥は、少し俯いてから、小さく頷いた。

「よく、我慢したね。偉いね朱鳥は。早く、この辛いのから解放されたいね。早く、毎日笑顔になりたいね。」

そう囁きながら、朱鳥の背中をさする。

時計を見ると、まだ深夜の3時。

「朱鳥、今日はもう寝よ?このまま起きてたら学校で辛くなるよ?」

朱鳥は、ウウンと首を横に振った。

「朱鳥、寝ないの?」

コクン

「でも、学校で眠くなっちゃうよ?」

「……ぃぃ」

「良くないよ?いっぱい寝ないと、体調も悪くなっちゃうよ?」

「いいの……だから…寝ないもん…………」

さすがに、こんなに毎日続けて悪夢を見るようになっちゃったら、寝るのが怖くなっちゃうよね。

「でも、朱鳥、このまま寝ないんだったら、学校で体調悪くなんないか心配だから、行かせてあげられないよ?いいの?」

「……やぁ………」

「じゃあ、寝よ?」

「…………ぃゃ…怖ぃ……」

そうだよね。

怖いよね……

「じゃあ、朱鳥、一旦起きて、リビング行く?」

コクン

朱鳥が頷いたのを確認して、枕元のライトをつける。

それから、2人でリビングへ向かった。
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