ある雪の降る日私は運命の恋をする
「ねぇ……朱鳥」

「ん?どうしたの?」

「俺…さ、まだ、よく朱鳥の事知らないんだよね。」

「うん……」

「それでさ、朱鳥に聞きたいんだ。昔、何があったのか。今日、何をされたのか。それで、朱鳥はどんな気持ちなのか。」

家に帰ってきて、俺たちは話し合う事にした。

俺は、朱鳥に聞きたかったことを全て聞くことにした。

それで、相談をして、少しでも朱鳥の力になれたらと思った。

「朱鳥、教えてくれる?」

「…………うん…」

少し間を空けてから、朱鳥は言い難そうな顔で頷いた。

「じゃあ、質問するね。まずは、今日の事。今日、何があったか教えて?」

コクン

「……………………今日、2回目に目を覚ました時、夢をね…思い出しちゃったの。……”お前なんていなければ良かったのに”って」

「そっか……」

「それでね、私…ここに居てもいいのかなぁって…………他の人の迷惑にしか、なってないんじゃないかなって……私なんて、いない方が良いんじゃないかって………………思った……」

「それで、家を出てったの?」

コクン

「そうだったんだね……。じゃあ、その後、何があったか教えて?」

俺は朱鳥に今日あったことを全部話してもらった。

家から出てった後に、知らない路地に行ってしまったこと。

そこで、知らない男の人たちと出会ったこと。

その人たちに、服を脱がされそうになった事。

抑えられて動けなかった事。

助けを呼べなかったこと。

そして、沢山の暴力を振られたこと。

最後には、捨てられた事。

それらは、あまりに残忍で酷い事だった。

朱鳥は、話している途中から、涙目になり、最後には泣いてしまっていた。

俺は、朱鳥の背中を擦りながら、全てを聞いた。

全てを聞いた後、俺は朱鳥を目一杯抱きしめた。

気付いてあげられなくてごめんね。

辛かったね。

全部、1人で我慢してたんだね。

もう、我慢しなくていいからね。

俺がいるからね。

それを全部伝えた。
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