ある雪の降る日私は運命の恋をする
コンコン

ガラッ

「朱鳥ー、おはよー。」

あれ?もう、朝?

「おはよ、楓摩。」

「おはよ。今日から、治療だね。頑張ろうね。じゃあ、診察したら、その後に点滴始めるから、まず診察させてね。」

「うん……」

なんか、憂鬱……

嫌だな………

だって、副作用が怖いんだもん…

はぁ……

「うん、いいよ。じゃあ、点滴するね。今日のは、この前の結果が結構よかったから、この前より弱い薬だよ。だから、副作用もこの前までは強くないと思うけど、それでも、辛かったら言ってね。」

そう言いながら点滴の準備をしている。

緊張で、心拍数が高い……

怖いよ…………

「朱鳥、ちょっとチクッとするからね。」

痛っ……

でも、点滴とか注射とか、なんか、慣れちゃったな…

「朱鳥、大丈夫?」

「え?……あ、うん。大丈夫だよ。」

「そっか、ならいいんだけどさ。何回も言うけど、辛かったら言ってね?」

「うん」

そう言うと、楓摩はギュッと抱き締めてくれた。

「一週間、お互いに頑張ろうね。辛いっていうのも、体調の事だけじゃなくて、心も辛かったら、ちゃんと言うんだよ?溜め込んだらダメ。俺に、なんでも言って?」

「うん、わかった。ありがと。楓摩も、お仕事頑張ってね。」

「うん、頑張ってくる。」

そう言って、楓摩は病室を出ていってしまった。

一気に寂しさが込み上げてくる。

ここは、一人部屋だから、私の他に誰もいない。

静かだと、時計の針が動く音がやけに大きく聞こえる。

私、一人で頑張れるかな?

楓摩も、しょっちゅう来れるわけじゃないもんね。

とりあえず、寝よ。

寝たら、きっと時間が過ぎてくれるよね。

そう思って目を瞑った。
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